厚生年金「月額14万円」を受給する75歳男性が負担する社会保険料は毎月いくら?
老後に受け取る厚生年金からは、一定の条件を満たす場合に社会保険料や税金が天引きされます。 ◆【一覧表】老後に受給する厚生年金から天引きされる税金・社会保険料 たとえば、厚生年金を月額14万円受給している75歳男性の場合、社会保険料や税金が引かれると、その分手取り額が減ってしまいます。 手取りが減ると自由に使えるお金が少なくなるため、どのくらい引かれるのかが気になるところです。 本記事では、厚生年金から天引きされる社会保険料や税金の種類を解説するとともに、厚生年金を月額14万円受給している75歳男性が毎月納める社会保険料はどのくらいかをシミュレーションしていきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
75歳の厚生年金の平均受給額は14万4523円
厚生労働省の発表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、75歳の厚生年金の平均受給額は14万4523円です。 受給者全体の平均が14万3973円なので、ほぼ一致しています。なお、この金額には国民年金の受給額も含まれています。 しかしこの金額は、年金支払額(額面金額)であり、実際に口座に振り込まれる金額は、社会保険料や税金が天引きされた後の金額です。 このままの金額が振り込まれると思っていると、生活費が不足する可能性があります。実際に振り込まれる金額は、原則として毎年6月に送付される「年金振込通知書」に記載されている、「控除後振込額」を確認してください。 上図の赤枠の部分が控除後振込額の欄です。
厚生年金から天引きされるもの
厚生年金からは、一定の条件に該当する場合、原則として以下の5つの保険料や税金が天引きされます。なお、年金から天引きされることを「特別徴収」といいます。 ・介護保険料 ・国民健康保険料 ・後期高齢者医療保険料 ・所得税・復興特別所得税 ・住民税 では、それぞれの項目について確認していきましょう。 ●介護保険料 65歳以上で老齢年金・退職年金・障害年金・遺族年金(以後、「老齢年金等」)を受給しており、年間受給額が18万円以上の方は、原則として年金から介護保険料が天引きされます。 ただし65歳以上の方でも、65歳になってからの一定期間やほかの市区町村から転入した場合などは、口座振替や納付書払いによる「普通徴収」で納付することがあります。 ●国民健康保険料 国民健康保険料は、65歳以上75歳未満(後期高齢者医療制度の該当者を除く)で、老齢年金等を受給している方のうち、年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。 ただし、国民健康保険料と介護保険料の合計額が、各支払期の年金額の2分の1を超える場合は、国民健康保険料は天引きされません。 ●後期高齢者医療保険料 後期高齢者医療保険料は、75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方のうち、老齢年金等を受給しており、年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。 ただし、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期の年金額の2分の1を超える場合は、後期高齢者医療保険料は天引きの対象外になります。 ●所得税・復興特別所得税 年金所得は雑所得として扱われており、65歳未満の場合は年金額が108万円以上、65歳以上の場合は158万円以上受給している場合、所得税がかかり年金から天引きされます。 なお、 2013年から2037年の間は、復興特別所得税として所得税額の2.1%がプラスされます。 ●住民税 65歳以上の老齢年金等を受給している方で、年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。 住民税は、所得に応じて負担する「所得割」と、所得にかかわらず一定の金額を負担する「均等割」で成り立っています。