甲南女子大・柴野ちりさ、全日本へのラストチャンス フィギュアスケートの楽しさが伝わる演技を
ジャンプの構成を上げ、GOEも狙う
昨年の西日本を終えたあと、まずは3回転ジャンプの種類を増やしたいと考えた。 「昨季のフリーは、サルコウ2本、トーループ1本の構成だったので、3回転ループ、フリップ、ルッツの練習をたくさんしました。セカンドトリプル(3回転ー3回転の連続ジャンプ)とかも」 今も練習は続けているが、「やっぱり間に合いそうにないなって。でもサルコウ2本、トーループ2本にはできたんで、完璧な演技でGOE(出来栄え点)を取りに行ったほうが早いって、今年のサマーカップの前ぐらいに構成を決めました」。 難しいジャンプを増やすことはできなかったが、昨年よりも基礎点が上がった構成でミスのない演技ができれば、柴野の魅力でもあるスケーティングの伸びやかさも映え、演技構成点にもつながる。 笹原景一朗コーチも、「3回転は2種類しかないけど、ノーミスでGOEをしっかり取れればチャンスは十分ある」と話す。8月のサマーカップと比べ、9月の近畿は総合で9点ほどスコアを伸ばし、キスクラで喜ぶ2人の姿も見られた。
仲間と支え合い、練習環境を確保
練習拠点である京都アクアリーナは通年型のリンクではないため、4~10月は使えない。近隣のリンクは混雑し、「45分間の練習で一度も曲かけ(プログラムの通し練習)ができない日もしょっちゅうあります」と明かす。 ホームリンクが開けば、昼間の一般滑走から入って夜間のクラブの貸し切り練習までいられるが、今は複数のリンクをハシゴして練習時間を確保する日々だ。 近隣大学の貸し切り練習にビジター参加するほか、学生が自主的にリンクを貸し切って練習する「学生貸し切り」にも積極的に参加。柴野が自分でリンクに電話をして貸し切り予約を取り、他の仲間を誘うこともある。 朝は大阪府立臨海スポーツセンター、昼は関空アイスアリーナ、夜は木下アカデミー京都アイスアリーナと、3つのリンクを行き来するのも当たり前。移動の負担はあるものの、滑れる場所があるのは甲南女子大学の部活や他大学の仲間たちのおかげでもある。 「部活の貸し切りは空いてるから、予定が合うときはバンバン練習させてもらってて、曲かけの時間も作ってもらって。昨年は主将をやってたんですけど、今は余裕がなくて。自分の練習優先で後輩とはあんまり交流できてないんですけど、すごく助かってます」 競技復帰時は「誰も知り合いがいないけど、大丈夫かな」と心配したが、試合や練習でいろんな大学の選手たちとつながりができた。今年1月のインカレは同期たちが卒業前だったこともあり、楽しい試合になった。 「ちょうど私の誕生日で、演技が終わったあとに『おめでとう!』って、すごい声かけがリンクサイドからあって嬉しかったですね。他の試合にはない楽しさがありました」 初めて7級クラスで出場したが、6級よりも観客が多くて応援もにぎやか。インカレらしい雰囲気を味わいつつも、「上手い人がいっぱいいて、ちょっと全日本みたいだな」と刺激も受けた。