花札でもなく、麻雀でもなく、ブラックジャックでもなく…作家・黒川博行(75)が人生で一番「ツキ」を発揮した瞬間
対人の博打が好き
要するに、対人の博打が好きなんです。相手と面と向かって勝負するのが好きだし、自分に向いている。公営ギャンブルは大学二年から就職一年目まで。四年間はほぼ毎週競馬場に行ってました。こちらはだいたい一勝九敗ペース。で、就職して最初の正月、冬のボーナス十二万円を持って淀の「金杯」に行ってすっかり溶かしてしもうて。家に帰ってよめはんに言いました、「もう僕は競馬をいっさいやめる。向いてないのがようわかった」 と。あえて言うなら、公営ギャンブルは胴元相手の勝負で、僕が負けても相手は喜ばない。
僕が悔しいだけです。でも対人博打だと、僕が負けたら相手喜びますやん。そういうのが割に好きなんかなと思います。もちろん、勝ちたいですよ。で、自分が勝って相手が悔しがってる顔を見るのはもっと好き。
自分のギャンブル運は強いと思います。
カジノへ行っても同じで、ブラックジャックやバカラが主で、スロットなんかはやりません。相手の顔を見て、技術と運の勝負をしたいんですね。パチンコも同じ理由でやらなくなりました。受験浪人一年目のころは頻繁に行きましたが、大学に入ってパタッとやめました。パチンコも一勝九敗ペース。 コロナのせいでごぶさたですが、以前はカジノにもよく行きました。最初は大学二年のときにマカオへ。そのときはビギナーズラックで四万円くらい勝ちました。今から五〇年以上も前の四万円ですからけっこう大きな額ですよ。もう時効だけど、パチンコも高校生で初めてやったとき勝ったし、昔、喫茶店によく置いてあった違法スロットも百円入れたらいきなりジャックポットが出て一万円になった。競馬も初めて買った馬券は当てました。 それも三レース連続で。麻雀や花札はさっき話したように、覚えたときから勝ちまくった。だから自分のギャンブル運は強いと思います。
対人でない博打は大負け
ただ、対人でない博打はその後、大負けしているから向いていないんでしょう。麻雀はね、大幅に勝ち越している。カジノはかなり負けてます。公営博打はもうほとんど連戦連敗、パチンコはめちゃくちゃ負けた。ふりかえってみると、勝負に関してはそれぞれの負けの分を麻雀ですべて取りかえしてるのと違うかな。自分の感覚ではトータル勝ち越しです。でも別に博打に負け越したって最終的に人生で勝ってたら、それでいいんやないかな、と思いますよ。 人生におけるツキはというと、ここ一番の大勝負は勝ちます、僕。