学力が高い子の家庭に見られる8つの特徴とは? 調査からわかったことを専門家が解説
言い換えれば、「子どもの学力を伸ばしたいから、無理やりにでも今日から子どもを毎日図書館や博物館に連れていくべき。そうすれば必ず成績が伸びる」という話ではありません。そこは誤解のないようにしていただきたいですね。前回、子どもの特性を踏まえた子育てが重要というお話をさせていただきました。図書館が向く子もいれば向かない子もいます。学力向上の方法は一つではありません。先ほど触れた「8つの特徴」を参考にしつつ、子どもの個性に合ったやり方を探すとよいでしょう。 ■子育ては「いい加減がちょうどいい」 ――一方で、日々忙しいなかであれもこれもできない……というのが親の本音としてあるかもしれません。 これまで子どもにさまざまな「体験」をさせることや親の働きかけ、習慣づくりが子どもの学力や非認知能力を上げるという話をしてきましたが、そうはいっても忙しい親があれもこれもすべてやるのは大変ですし、非現実的ですよね。それに子どもの学力や非認知能力 のすべての責任が親にあるわけでも、もちろんありません。 親ががんばりすぎて、疲れて不機嫌になっては元も子もありません。子どもの体験や環境づくりはできそうなところから取り入れ、子どもの様子を見ながら、「いい加減に」試行錯誤していけばいいのだと思います。いい加減といってもネガティブな意味ではなく、「適度に」という意味での「良い加減」です。 親の精神状態が悪いと、結果的に子どもにマイナスの影響をあたえます。親がゆとりをもって笑顔で子どもに接することで、子どもの心は安定し、学力も非認知能力も伸びていきます。子育ては「いい加減がちょうどいい」という意識も大切にしてほしいですね。 (取材・文/船木麻里) ※前編〈体験が多いほうが子どもの「学力」や「自己肯定感」は上がる? 学力調査に詳しい専門家に聞く“研究結果”とは〉から続く 〇浜野 隆/お茶の水女子大学基幹研究院教授。専門は教育社会学・教育開発論。文部科学省委託の「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」の研究代表として家庭環境と学力・非認知的能力の関係を分析。『子どもの才能を伸ばす 最高の子育て』(ソシム)など著書多数。
船木麻里