適度なトルクで締め付けてもオイルドレンボルトからオイルが滲む時は、ガスケット素材の見直しが有効かも
エンジンオイル交換時に必ず交換するよう推奨されているのがドレンボルトのガスケット(ドレンワッシャー)です。ドレンガスケットは自らが潰れることでシール性を発揮しますが、エンジンやボルトの座面の状態や使用するオイルの種類によってジワジワ滲むことも。そんな時はガスケットの種類を変更することでオイル滲みが収まる場合もあります。 【画像】オイル交換DIY派は試して損はナシ!ガスケット素材の見直し ギャラリーへ (6枚)
ネジ山が傷んでいなくても漏れや滲むことがあるエンジンオイル
オイルドレンボルトのガスケット(ドレンワッシャー)は、一度使用したら新品に交換するよう指定されています。それはドレンボルトを締めた際にガスケットが潰れることでシール性を発揮するためです。エンジン側のオイルドレン穴とドレンボルトの座面は、それぞれ表面が平らに加工されていますが完璧ではありません。 表面の僅かな凸凹や合わせ面の傾きをガスケットが吸収することでオイル漏れを防止しますが、ドレンボルトを一度締め付けて潰したガスケットには、クランクケースとドレンボルトの表面に倣った潰れグセが付いてしまいます。そのため一度潰れたガスケットを再使用すると、シール性が低下すると同時にエンジンやボルトとの当たり位置が変わって、オイル滲みや漏れが発生する場合があります。 ドレンガスケットには平板を打ち抜いたタイプと複雑に折り曲げられたタイプがあります。後者はクラッシュタイプと呼ばれることもあり、ボルトを締め付けると折り曲げられた部分が潰れてシール性が高まります。しかし一度潰れてしまうとそれ以上潰れないので、再使用する際はついつい初回より大きなトルクで締めがちになり、ネジを傷める原因になるので注意が必要です。 一方、絶版車や旧車でしばしば見られるのが、ガスケットを新品に交換してドレンボルトを締めてもオイルが滲むという症状です。これはエンジン側のボルト座面の状態が悪かったり、ドレンボルトの着脱を繰り返してきたことでネジ山がダメージを受けたことが原因になることが多いようです。 作業ミスでエンジン側の雌ネジをなめてしまったような場合は、リコイルなどで新たに雌ネジを作り直さなくてはなりませんが、ボルトに締め付けトルクが加わるものの、ネジ山は傷んでいるという状態もあります。またドレンボルトを取り付けた時にガタつきが大きいと、気分的にも充分な締め付けトルクが掛けづらくなり、それがガスケットに対する圧力不足につながり、ドレンボルト周辺にオイルが滲む原因になることがあります。 使用するエンジンオイルによって滲みや漏れやすさが左右されることもあります。絶版車に100%化学合成油を使用するとシールやガスケットから滲みやすくなるという話を聞くことがありますが、それは化学合成油は鉱物油に比べて浸透性が高いという特性があるためです。浸透性の高さ自体はクリアランスが小さい場所でも油膜を保持できる強みになりますが、絶版車ではそれがオイル滲みにつながる可能性もあります。 また化学合成油の中には、古いオイルシールやガスケットを膨潤、収縮させる成分が含まれていることもあり、それが滲みの原因になることもありますが、ガタが大きくなったネジ山を伝ってドレンガスケットから流れ出す場合もあるのです。