米朝首脳会談前に「人材空白」 予測不能なトランプ・リスク
アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と面会した韓国の特使団と今月8日に面会し、金委員長からの米朝首脳会談の開催要請に対して、5月までに実現させる意向を示した。トランプ大統領にとって「外交的な大博打」とも評される米朝首脳会談だが、外交上のメリットそのものを疑問視する声も少なくない。トランプ大統領と特使団の面会のわずか数時間前には、ティラーソン国務長官が外交上必要と思われるステップを省略して首脳会談を行うことに否定的なコメントをしたが、トランプ大統領はそれとは真逆の選択をし、13日にティラーソン長官を電撃解任した。後任として指名されたのは、対北朝鮮強硬派として知られるポンペオCIA長官だ。トランプ政権の北朝鮮政策がこれまでにないレベルで予測不能となってきた。
想定外だったトランプ大統領の「即決」
実現すれば、現職の米大統領としては初となる北朝鮮首脳との会談。これまでにビル・クリントン氏とジミー・カーター氏が北朝鮮を訪れているが、「元大統領」という肩書での訪朝であった。 チョン・ウィヨン国家保安室長やソ・フン国家情報院長を含む韓国の特使団は3月5日に北朝鮮で金正恩委員長と面会しており、8日のホワイトハウス訪問では金委員長との会談内容などについてトランプ大統領に説明が行われた。約45分にわたった面会では、核開発やミサイル実験を控える用意があるとする北朝鮮側の意向などが伝えられ、金委員長が米朝首脳会談の開催を希望している旨はその際に伝えられた。ニューヨーク・タイムズ紙はトランプ大統領が米朝首脳会談の開催を即決した瞬間、韓国の特使だけではなく、会談に出席したトランプ政権幹部らの間にも驚きを隠せない表情が広がったと伝えている。まさに青天の霹靂ともいえる瞬間であった。 アメリカは金委員長からの首脳会談要請を把握していたものの、情報はトランプ大統領や一部の政権幹部の間でしか共有されず、同盟国はおろか、トランプ政権の閣僚の大半が知らされていなかったとの報道もある。