米朝首脳会談前に「人材空白」 予測不能なトランプ・リスク
北朝鮮外相が突然のストックホルム訪問
トランプ大統領が5月までに米朝首脳会談を行う意思を示して以降、会談が行われる場所をめぐってさまざまな臆測が飛んでいる。ワシントンや平壌で開催される可能性は低く、朝鮮半島の軍事境界線上にある板門店や、スイスなども候補として浮上したが、15日に北朝鮮のリ・ヨンホ外相がスウェーデンのストックホルムに到着。リ外相はスウェーデンに2日間滞在する予定で、その間にスウェーデンのバルストロム外相と会談を行うが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではないスウェーデンが「仲介役」となり、米朝首脳会談実現に向けての地ならしが行われるとの見方が強い。リ外相のスウェーデン訪問によって、ストックホルムが米朝首脳会談開催地の筆頭に浮上した。 ここで北朝鮮とスウェーデンの関係について見てみよう。北朝鮮と正式な外交関係を結んでいるのは164か国。現在、北朝鮮は47か国に大使館を置いており、北朝鮮に大使館を置く国の数は24となっている。カリブ海諸国を含むアメリカ大陸で平壌に大使館を置いている国はキューバとブラジルのみで、ヨーロッパではドイツやイギリス、スウェーデン、ポーランドといった国が大使館を置く一方で、フランスは日本やアメリカ同様に正式な外交関係は結んでいない。 ドイツは冷戦時代に旧東ドイツが平壌に大使館を置いていたが、ドイツ統合後に東ドイツ大使館を閉鎖。2000年からドイツ大使館として再開させた。同じ2000年にイギリスは初めて北朝鮮と国交を樹立している。スウェーデンは朝鮮戦争が始まった1950年に中立国監視委員会(NNSC)に参加し、スウェーデン赤十字社の野戦病院を戦地に設け、1000人を超える医師や看護師を派遣した。 統一後のドイツやイギリスと比較してみると、スウェーデンと北朝鮮の外交関係は長く、両国は1970年に国交を樹立している。スウェーデンでは1970年代に市民レベルで北朝鮮との交流を図ることを目的とした団体も設立されており、アメリカにはない独自の外交ルートを平壌との間に確立している。北朝鮮のスウェーデン大使館はアメリカの「利益代表」としての顔も持っており、これまでにも北朝鮮当局によって拘束されたアメリカ人学生や大学教授の状況が、スウェーデン大使館経由でアメリカ側に伝えられていた事が米メディアによって何度も報じられている。