息子の笑顔がツラいです…年収500万円も貯金は“ほぼゼロ”の現実。44歳シングルファザーがこぼしたSOS【FPの助言】
令和3(2021)年の厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」によると、全国のひとり親世帯は母子世帯が119.5万世帯、父子世帯が14.9万世帯となっています。こうしたなか、昨今取りざたされる「ひとり親世帯の貧困問題」について、実はシングルファザーの“隠れ貧困”が増えているのです。FP Office株式会社の石井悠己也FPが、具体的な事例をもとに解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
需要はあるのに人がいない・賃金が上がらない「深刻な業界」
近年、Amazonや楽天をはじめとしたECサイトの普及により、物流業界における「人手不足」が深刻化している。 厚生労働省のデータをみても、2023年時点で日本の物流業界の有効求人倍率は2倍を超えており、多くの企業が担い手不足というのが現状だ。 一方、ドライバーの労働条件や賃金の改善は進んでおらず、業界全体として労働環境は厳しいままだ。地域や企業によって異なるが、具体的には、20代ドライバーの平均年収が約300万円、40代でも450~500万円といった水準となっている。 さらに、ドライバーは雇用形態が業務委託の場合も多い。そうなると、月々5万円~10万円の車両リース代やガソリン代などの経費も自己負担となり、実際の手取りはさらに大きく減る。 このように、多くのドライバーが経済的に追い込まれている現状がある。
業務委託の宅配ドライバーAさんの悩み
ある日、筆者のFP事務所を訪れたAさん(44歳)。妻を3年前に病気で亡くしたAさんは、それ以来、ひとり息子を男手一つで育ててきた。 だが、妻が亡くなってしばらくすると、家計は徐々に悪化。もともとは会社員だったが、生活のために配送ドライバーの仕事を始めた。Aさんの現在の年収は約500万円だが、貯金はほぼゼロ。月々の出費がかさみ、どうしても余裕がないという。 「最初は、なんとかなるだろうと思っていました。配送業は仕事が安定しているように見えたし、働いた分だけ稼げるというところに惹かれて、業務委託を選んだんです。だけど、現実は全然違いました……」
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