息子の笑顔がツラいです…年収500万円も貯金は“ほぼゼロ”の現実。44歳シングルファザーがこぼしたSOS【FPの助言】
シングルファザーが活用できる4つの「公的支援制度」
Aさんのようなシングルファザーは、下記のような公的支援制度を活用することができる。 1.児童扶養手当【ひとり親世帯対象】 所得制限があることから、所得水準によっては不支給となる場合もあるが、子ども1人あたり「全部支給」の場合は月額4万5,500円、「一部支給」の場合は1万740円~4万5,490円が支給される。 なお、全部支給の場合は所得制限に引っかかってしまう場合でも、一部支給であれば所得制限にかからないというケースもある。たとえば、扶養する児童が1人の場合、一部支給の所得制限は、年収385万円、所得230万円(令和6年11月~)となっている。 Aさんは児童扶養手当についてすでに知っており、申請を行っていたが、市役所の職員からは「所得制限を超えているため、残念ながら現状では手当を受けることができません」と言われてしまったそうだ。 たしかに年収は約500万円で制限を超えているが、Aさんは毎年の確定申告をかなりざっくり行っていたことから、経費や控除にできるものを申告に含めておらず、所得金額にズレがあった。そのため、正確に計算し直せば所得制限以下になる可能性がある。 さらに、「小規模企業共済」や「確定拠出年金(iDeCo)」などを活用すれば所得を減らすことができる。 2.住宅手当【ひとり親世帯対象】 「住宅手当」は、ひとり親世帯で20歳未満の子どもを養育し、かつ、家族で居住するための住居を借り、月額1万円を超える家賃を支払っている家庭を対象に、家賃の一部を補助する制度だ。 市区町村独自の制度であるため、制度自体の有無や支給要件などは居住地に確認する必要があるが、Aさんの住む自治体では6,000円~1万円の補助が受けられることがわかった。 また、もし条件が許せば、Aさんの実家に住むという選択肢も検討すべきだろう。実家の援助を受けることで、家賃や生活費の負担が大幅に軽減され、貯金を増やす余裕が生まれる。たとえば、実家で生活することで月々の家賃10万円が削減できれば、年間で120万円の節約が可能となる。 3.「児童育成手当」 「児童育成手当」は、「児童扶養手当」と似ているが、これも市区町村独自の制度だ。18歳までの児童を扶養するひとり親世帯が対象で、Aさんの居住地では児童1人につき月額1万3,500円が支給される。 ただし、支給要件や所得制限等の基準は各市区町村によって異なるため、注意が必要だ。 4.「給付型奨学金制度」の活用 奨学金には、返済不要の「給付型奨学金」と返済義務のある「貸与型奨学金」の2種類がある。奨学金の種類によって、主に以下のような応募資格が設定されている。 ・ひとり親家庭 ・一定以上の成績を有していること ・世帯年収 ・世帯資産 ただし、貸与型奨学金よりも審査が厳しいため、学校や各団体に問い合わせる必要がある。また、他団体との併用が可能な奨学金もあり、複数の制度に応募が可能だ。Aさんの子のように成績優秀であれば、給付型を受給できる可能性も十分考えられる。
【関連記事】
- 年収380万円の49歳男性「本当につまらん暮らしです」…7年前は沖縄に正月旅行→リストラで給与が激減。妻は不機嫌、娘も息子も“休み返上”で働く〈貧困家庭〉の実態【ルポ】
- 助けたい気持ちはありますが…年金月19万円の60代夫婦、生活保護で暮らす29歳の愛娘を“放置”するワケ【FPが解説】
- パパ、実は相談があって…年金月24万円・69歳仲良し夫婦の“穏やかな老後”を奪い去った、愛する娘からの「まさかのひと言」【CFPの助言】
- 「奨学金を借りてくれないか…」晩婚→47歳で「父親」になり17年。年金受給目前の64歳元会社員が、大学進学を目指す我が子に頭を下げた切実な事情【FPの助言】
- ハンドルを握るのが怖い…約3年間「1日12時間労働」を続ける月収34万円・53歳宅配ドライバーの悲痛な叫び【ノンフィクション】