【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第3ステージ】ティム・メルリールが亡きウェイラントに捧ぐジロ通算2勝目 ウルフパックとしても記念すべきジロ30勝目
さあ、スプリントに向かって…となるものと誰もが思っていた。残り10kmを切ってイネオス・グレナディアーズやグルパマ・エフデジが前を固め始めると、残り4.5kmから始まるこの日最後の上りでは、チューダープロサイクリングやリドル・トレックも主導権争いに加わる。しかし、それら隊列の中にマリア・ローザが割って入っているのが、セオリー通りにはいかない“何か”を予感させる。
その予感は的中する。残り3kmでミッケルフレーリク・ホノレ(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタックすると、すかさずマリア・ローザが反応した。スプリント狙いのチームがまごつく間に、トーマスも集団から抜け出して前の2人に追いついた。
「自分からアタックするつもりはなかったんだ。ミッケルのアタックに合わせているうちに、集団との差が広がっていて…それに気づいたのもしばらくしてからだからね。さすがに勝つのは難しいと思ったけど、こうなったらやってみようと」(ポガチャル)
逃げ切りにフォーカスしたポガチャルについていけたのは、トーマスだけ。ホノレは付き切れし、やがて集団に飲み込まれた。その集団は、数秒先を走る今大会の“2強”になかなか迫れない。スプリントを想定していた多くのチームがリードアウトマンを追走に費やす格好となり、最後はスプリンターみずからが2人を追いかけ、そのままトップでのフィニッシュを目指すという「力業」に出るほかなくなった。
どうにか、こうにか、ポガチャルとトーマスを捕まえたのが残り200m。そのままスプリントが始まって、先に仕掛けたトビアスルンド・アンドレースン(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)の両脇からミランとメルリールが加速。2人が左右両サイドから伸びて、ほぼ当時にフィニッシュラインに向かってハンドルを投げた。
写真判定にゆだねられたステージ優勝は、メルリールで確定。当の本人はフィニッシュと同時に勝利を確信し、両手で「W」マークを天にかざしていた。それは、2011年の第3ステージレース中に事故で命を落としたワウテル・ウェイラントに捧ぐことを意味する。 「ワウテル・ウェイラントが亡くなった時、僕は18歳。彼は僕にとってアイドルだったから、すごくショックで、まるで昨日のことのように記憶に残っている。2021年にジロで初めて勝った時もそうだったけど、今回も彼に捧げたいと思っていた。彼の親友であったイーリョ・ケイセが今、僕たちのチームでスポーツディレクターを務めていることにも運命を感じずにはいられないんだ」(メルリール)
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