日本以外ボロ負け…スタバが中国でやらかした「失策」、強敵との差が埋まらないワケ
創業者も異例の発言、スタバ「復活の鍵」は
一方、スターバックスは一歩下がって体勢を立て直す必要がある。2023年3月に創業者のハワード・シュルツ氏がCEOを退任した後、後任CEOが二転三転するなど新しい体制作りへの模索が始まっている。中国CEOについても同様で、この2年でCEOが目まぐるしく変わり、2024年9月に劉文娟氏がCEOに就任したことでようやく落ち着きを見せた。 劉文娟氏は、立ち遅れたデジタル対応をするため、2017年に設立されたデジタル革新チームを率い、アリババと提携し、スマホ決済の対応やデリバリーを実現してきた人だ。劉文娟氏の使命は、スターバックスのリアル空間である第3空間と、ネット空間である第4空間を統合して、スターバックスにしかできない“サードプレイス”を構築することだ。それが実現できるかどうかがスターバックス復活の鍵になる。 シュルツ氏は、自分はもうスターバックスを離れているが緑のエプロンを着る人(現場スタッフ)への愛があるとして、2024年5月にスターバックスに関する文章を自身のLinkedInアカウントに投稿した。経営層と管理層は緑のエプロンを着た人ともっと長い時間を一緒に過ごす必要があると指摘し、2つの提言を行った。 ・モバイルオーダーと決済プラットフォームを再発明すること ・コーヒー志向のイノベーションによりデリバリー戦略を改善すること これにより、スターバックスのプレミアムなポジションを強化できるとした。この「コーヒー志向のイノベーション」という言葉が重要なポイントで、ラッキンが食材の順列組み合わせによる手数の多さで勝負をするのに対し、スターバックスは品質や感性で勝負をしてくることになりそうだ。 シュルツ氏の投稿内容は、中国新CEOの方向性ともベクトルがそろっている。価格競争や過剰な店舗拡大からは距離を置いて、独自の道を歩むことになると見られている。スターバックスが競争から脱落したのか、自らの意思で離脱をしたのか。今後のスターバックスの復活次第で、答えはどちらか1つに決まる。
執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文