日本以外ボロ負け…スタバが中国でやらかした「失策」、強敵との差が埋まらないワケ
新興コッティの凄い戦略、「3年以内に5万店」が現実的なワケ
一方、コッティはまだ開発体制が構築できてなく、ラッキンでヒットしたメニューを後追いしている格好だ。しかし、コッティも9.9元の価格競争をしながら利益を出せる体制を整えつつある。 コッティは9.9元での販売を2026年いっぱいまで続けることを宣言し、同時に「3年以内に5万店規模にする」と公表した。スターバックスの9000店舗とは次元の異なる無謀さだ。 しかし、中身を見てみるとそれが現実味のある戦略であることがわかる。コッティの加盟店募集要項の試算表を見ると、標準店舗で1日400杯が売れると、加盟費用などの初期投資はわずか3.3カ月で回収できるとされている。加盟店募集資料なので耳障りのいい数字が並んでいるとしても驚異的な短さだ。30平米のスタンド店であれば、保証金5万元(預かり金)の他、店舗改装費、初期仕入れ費用などを含めた初期費用が26.8万元(約570万円)で出店ができる。これにより、コッティは加盟店を中心に急拡大をしている。 コッティには「コッティInside」というブース型の店舗形態がある。6平米から11平米で、大型スーパーやモールの広場などに出店ができる。 さらに、サイズを半分程度にした「コッティExpress」という店舗形態も発表した。本体は1.5m×0.75mのカウンターのみでここにコーヒーマシン、給湯器、製氷器が並べられる。こちらは初期費用が15万元(約310万円)とさらに少なくなる。面積はコンビニの陳列什器ひとつ分程度になり、コンビニやスーパーの店内、ホテルや駅の娯楽施設などの購買コーナーに置く店中店方式になる。すでに中堅コンビニ「新佳宜」(New Joy)などが導入を始めている。 このExpressの特徴は、コンビニの店中店である場合、コーヒーの調理はコンビニのスタッフが行うということだ。つまり、コッティ側から見ると、人件費、家賃、光熱費などを加盟店側に依存でき、コーヒーの原価を大きく下げられるのだ。 通常の標準店の場合、11.37元の原価がかかる。これを9.9元で販売しているため、赤字を出しながら販売していることになるが、人件費などを加盟店側に依存できるExpressでは原価が6.57元となり、9.9元で販売をしても3.33元の利益が出て、これを加盟店とコッティでシェアをすることができるようになる。つまり、Expressにより店舗拡大を加速するだけでなく、同時に収益構造を改善していくことができるのだ。