台風10号九州から遠く離れる可能性低く 「わずかな期待もあったが…」
今後、特別警報級に発達し、その勢力を維持したまま沖縄、奄美、九州地方に近づくことが予想されている台風10号について、気象庁は5日午前、「4日の予想より九州を遠く離れて進む可能性が低くなった」と明らかにした。これにより、暴風や高潮などの重大な災害が発生する確度が上がったといい、厳重な警戒が必要だとしている。 【動画】「特別警報級」台風10号の洪水災害に警戒呼びかけ 気象庁と国交省が会見 台風の予想進路は、台風接近までの時間が短くなれば精度が高くなり、予報円は小さくなる。5日午前の段階で、予報円の東側は4日と変わっていないため、その分、西寄りを進む可能性が低くなったことを意味している。 気象庁の杉本悟史主任予報官は「暴風、または暴風によって引き起こされる高潮は、台風が離れて通れば通るほど、災害のおそれとしては低くなる。このため、少しでも西に行ってくれれば、というわずかな期待もあったが、その可能性がなくなってきた。逆に言えば、暴風や高潮の重大な災害が起きる可能性が高くなってきたといえる」と話した。 台風の接近に伴う大雨については、「最も危惧されているのは、長時間にわたって東からの風が吹き込み続ける宮崎県などという状況に大きな変化はない。しかし、台風が九州に近いところを進むことで、九州の西側も台風本体の雨雲がかかる時間帯が長くなることが考えられ、雨量は増える可能性がある。ただ、いずれにしても記録的な大雨となる可能性があり、厳重な警戒が必要だ」と話している。
高潮は津波に近いイメージ
高潮について、杉本主任予報官は「10~20秒周期で波が高くなったり低くなったりする高波の場合は、高い時に防波堤を越えて海水が陸地側に入ってきたとしても次は低くなるため、そのまま入り続けることはない。しかし、高潮は海面水位が平均的に高くなる状態であるため、いったん防潮堤を超えるとしばらく海水が入り続ける。津波と同じとはいわないが、それに近いイメージで、海水がどっと押し寄せるイメージを持ってほしい」と説明している。 今後、台風10号の接近が予想されている奄美市名瀬では、2004年8月の台風16号の時に1メートル60センチほどの潮位を観測している。この台風16号がこの付近を通過した時の中心気圧は940ヘクトパスカルで、最大風速は45メートルだったと解析されているが、今回のほうが勢力が強く、過去最高の潮位を上回る可能性も十分あるという。