「何もしない贅沢」ストレスから解放される湯治旅の魅力。1200年の歴史をもつ肘折温泉、山形の新鮮な食材を楽しめる期間限定の朝市も
◆初めて来てもなぜか懐かしい、肘折温泉朝市 肘折温泉の名物といえば、早朝5時から始まる朝市が欠かせない。4月20日から11月の毎日、温泉街の旅館の軒先に、地元の朝市組合のお母さん方が簡易的な店を広げる。 旬の野菜や山菜、果物、キノコをはじめ、手作りのお惣菜やお漬物など、素朴な商品が所狭しと並ぶ。そこを湯治客は浴衣姿でぶらぶらと歩いて見て回るのだ。季節によって商品のラインナップが大きく異なるため、いつ訪れても新鮮な気持ちでお店を見て回ることができる。 何だかわからない商品が並んでいたら、お母さんに聞いてみるのがおすすめ。「これはこうやって食べると美味しいよ」と調理法を教えてくれる。「これはおまけね」とこっそり果物を忍ばせてくれたりもする。こうしたコミュニケーションこそが朝市の魅力だろう。ほっかむり姿のお母さん方が「ありがとうね」と商品を渡してくれるときには、ここは自分の故郷かと錯覚するかのような懐かしさを感じること請け合いだ。 朝市が終わった後も、商店でお買い物を続けたり、足湯を楽しんだり、お散歩をしたり。朝市を理由に湯治客は皆早起きができるので、「朝活」のきっかけにもなる。早起きは三文の得、ここ肘折温泉ではゆったり流れる時間を朝から存分に楽しむことができる。
◆ここでしか食べられない肘折グルメで腹ごしらえ 旅行に来たからには美味しいものが食べたい!そんな欲望も肘折温泉ではしっかり叶えてくれる。ここに来たら是非食べておきたいのが、そば処 寿屋さんのお蕎麦。 実は山形県は、豊かな水と気候から蕎麦の栽培が盛んで、そば王国としても知られており、その消費量は長野県に次ぐ全国2位を誇る。 遅い時間に行くと売り切れになってしまうこともある人気メニュー、「天ざるそば(1580円)」は絶品。ここ寿屋さんで出てくるお蕎麦にはわさびが付いてこないのも大きな特徴。その代わりに、肘折では一味をかけて食べるのだ。若女将さんが説明してくれた通りに一味をパラパラっと少しかけていただくと、鼻から抜ける蕎麦の香りとぴりりと辛い一味のマリアージュがなんともたまらない。クセになりそうなお味だ。天ぷらもサクサク、季節や日によって地元の山菜なども入っているから友人どうしで行っても盛り上がること間違いなし。 他にも、「肘折のお豆腐屋さんのお豆腐」や、焼き油揚げに、葱と一味・醤油をかけて食べる「ざぶとん」なども注文できる。地元の人は、日本酒を嗜み、その後にお蕎麦を食べたりもしていた。人によって楽しみ方は無限大だ。そして、お店の窓辺からは自然の雄大さを感じる銅山川が一望できるのも魅力の一つ。お蕎麦を味わいながら川を見てぼーっとするも良し。 ここ、そば処寿屋さんでは、美味しいものと綺麗な景色に心癒される、ゆったりとした時間を過ごすことができる。
【関連記事】
- 温泉オタク会社員が「ひとり客におすすめの温泉地」に<別府>を強く推す理由とは。「箱根や熱海はひとりに不向きな面が…」
- いきなりひとり旅が不安なら、まずは旅行中の半日ソロ行動や、おひとり様用ツアーから。慣れたら都市丸ごと満喫、聖地巡礼、自分史旅などテーマ旅も
- 観光はしない。温泉と宿の時間を楽しむひとり温泉旅。宿探しは週末・観光シーズンを避けて。お風呂あがりのビールが最高の瞬間!
- 月曜に疲れが出たならその旅程は「欲張りすぎ」かも…約500湯を巡った温泉オタク会社員流<一泊二日・温泉旅行の過ごし方>
- 温泉オタク会社員が「白い濁り湯は確かにいいけど黒もサイコー」と語るワケ。「日本一黒いモール泉は青森県の東北温泉。湯底が見えない真っ黒な色湯は迫力満点!」