「見て、ピカチュウみたいなのがいる!」 「伝説のバンドマン」の意外すぎる“もう1つの職業” 「ド派手なピンクの生物」の正体とはーー
音楽活動のかたわら、KENZIさんがバーを開いたのは2005年。ライブの打ち上げや、音楽好きが交流できる場所を作りたい、という思いからだった。以来、20年近くにわたって、夜は歌舞伎町で過ごしている。 そんなKENZIさんだからこそ、街が汚れていくのは見過ごせなかったのだ。どうせなら、誕生したばかりのキャラクターでゴミ拾いをすることにした。 そして当日。ぴぱんくぅは(設定上)しゃべれず、視界も狭い。何が起こるかもわからないので、数名のスタッフが同行し、KENZIさんことぴぱんくぅは歌舞伎町へ。冒頭で紹介したように、一帯はたちまちテーマパークのようになったのだが、この街のお客さんは残念ながら礼儀正しい人ばかりではない。
女の子が「何だ、お前!」と近づいてきたかと思ったら、棒で頭をひっぱたかれた。尻がもぞもぞするので振り向くと、子どもが尻尾を取り外そうとしていた。大柄な外国人には、お姫様抱っこをされた。一番驚いたのは、誰かにいきなりタックルされ、ふっ飛ばされたことだった。 「あのときはむちゃくちゃ腹立ちました。(着ぐるみの)頭を取って、追いかけ回してやろうかと思いましたもん、本当に(苦笑)」 それでも約30分間かけて歌舞伎町を一周し、ゴミ拾いを行った。同行した女性スタッフの1人は、「怖いからもう行きたくないです」と泣き出しそうだったが、KENZIさんはまったく逆の思いだったという。というのも、昔から刺激のあることが大好きな性格。初めてのゴミ拾いも、いら立つこともあったが、楽しさのほうが圧倒的に大きかった。
「(テレビドラマ『がんばれ!! ロボコン』の)ロボコンっていうキャラクターがいるんです。失敗ばかりしてるのですが、すごく人間味があって、大好きで。ロボコンを見てると、誰だって完璧じゃない、失敗してもいいんだって思えて、夢が広がっていくんですよね。ぴぱんくぅも、うまくいかないことがあっても、『あのピンクのやつ、また来てる』って言われるくらい通ってやろうと思います」 ■街に飛び出すことで、人々に癒やしを与えていきたい