「見て、ピカチュウみたいなのがいる!」 「伝説のバンドマン」の意外すぎる“もう1つの職業” 「ド派手なピンクの生物」の正体とはーー
最初から自分が入る気満々だったが、周囲からは「本当にKENZIさんが?」「プロデュースだけかと思いました」と驚きの声も上がったという。着ぐるみのセオリーとして、「人が中に入っている」と明かすのはもちろん、「誰が入っているか」を公言するのはご法度。だが、自らが入ると発表したことで、ファンたちには二重の驚きを与えたのだった。 そして、ぴぱんくぅのお披露目会が開かれた。場所はKENZIさんが経営する歌舞伎町のバー。意気込んでぴぱんくぅに入ったKENZIさんだったが、夏だったこともあり、着ぐるみの中は予想以上に暑い。当時はまだ、冷却スプレーをかける、小型扇風機を使う、などは思いつかなかった。トイレに行くふりをして、裏で汗を拭いていると、ハプニングが起こった。
「(着ぐるみの)頭を取って汗を拭いていたんですよ。そうしたら頭が落ちて、会場に転がっていって、みんなが『キャー!』って。それがぴぱんくぅのスタートでした(笑)」 着ぐるみに入ってみないとわからないことはほかにもあった。クラウドファンディングのリターンで、「ぴぱんくぅとデートプラン」に申し込んでくれた女の子と、手をつないで新宿ゴールデン街に行ったときのこと。 着ぐるみの頭は直径80センチと大きく、人ごみを通れずに引き返すことになってしまった。このときの経験から、プロレスのマスク職人にぴぱんくぅのマスクを制作してもらい、時と場合によってはそれを被って登場することにしたのだった。
そんなぴぱんくぅが歌舞伎町でゴミ拾い活動を始めたのは、2023年12月。その背景には、訪日客やトー横に集まる若者が増え、目に見えてゴミが増えたのがきっかけだとKENZIさんは話す。 ■街が汚れていくのを見過ごせなかった 「若い子らがコンビニでカップラーメンを買って、食べかけをその辺に捨てるんです。チューハイの空き缶、野菜ジュースやチキンのゴミ、空の錠剤の容器も多いです。外国人のなかには、空き瓶をその辺に転がす人もいる。ネズミの量も半端なくて、あっちこっちウロチョロしています」