「アイドル時代に経験した『魂が揺さぶられる感覚』を感じた」北原佐和子 准看護師資格を取得し週4日介護に従事する今
── 卒業後は准看護師の資格はどのように仕事に活かされていますか? 北原さん:現在は認知症専門のクリニックで週2日、介護施設で週2日、あとは介護イベントに携わる仕事をしています。クリニックでは脳のMRI検査を担当しているのですが、准看護師の資格を取ったことは介護にも活かされています。 ひとつは薬のことがよくわかるようになったこと。以前は薬の効果を理解せず、指示された薬を利用者の方に服用してもらっていましたが、いまは「その薬が必要な理由」に目を向けられるようになりました。もうひとつは「この方は脳のここから出血したから麻痺が起きている」「高血圧だからこのような症状が出ている」など、疾患と症状の繋がりを理解できるようになり、介護の現場で利用者の方に今まで以上に寄り添うことができるようになりました。
── 今後の目標はありますか? 北原さん:自宅で利用者の方の看取りができるケアマネジャーになることです。以前、利用者さんが自宅で亡くなられたのですが、急に容態が悪くなり、ご家族がとまどっていらっしゃいました。もしケアマネジャーに医療の知識があれば、お元気なときから健康チェックでバイタル測定を行うなど医療職の介入を行うことができ、必要なときに看護師や医師との信頼関係が築けているため、「お母さん、そろそろかもしれません」というその言葉を素直に受け入れることができたのだと思うのです。
具合が悪くなってから健康チェックをしたほうがいいと言われても、ご家族の立場になると「どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ」という気持ちになりますし、なかなか受け入れることができません。ケアマネジャーとご家族との信頼関係も築けません。せっかく医療の知識を身につけたので、今後はそのような提案をもっとしていければと思っています。 利用者さんとのふれあいは私の中で生きる張り合いとなっています。同様に女優として演じることも私の中では喜びです。やる気はあるので、縁があればそちらも頑張りたいと思っています。
PROFILE 北原佐和子さん きたはら・さわこ。1964年、埼玉県生まれ。1981年に「ミス・ヤングジャンプ」に選ばれたのをきっかけに芸能界デビュー。「花の82年組」としても活躍した。現在は女優業を続けながら、介護、看護の仕事に携わっている。書籍『 ケアマネ女優の実践ノート』(主婦と生活社)を9月に発売。 取材・文/酒井明子 写真提供/北原佐和子
酒井明子