「アイドル時代に経験した『魂が揺さぶられる感覚』を感じた」北原佐和子 准看護師資格を取得し週4日介護に従事する今
実は狭い事業所で働いていたときは利用者の方の行動がすぐに目に入ります。どこかにぶつかって怪我をする危険性がある場合も多く、つい気になって頻繁に口を出してしまっていたことがありました。ある認知症の方に「うるさい」と怒られて、拳が飛んでくるような雰囲気になることもしばしば。結果、その方はそれからすぐにご家族の意向でほかの事業所へ移動になりました。 「特別養護老人ホームに入所なさったら、寝たきりになっちゃうかも」という先入観が当時の私にはあり、その方のことが気になって、移動先に面会に行ったんです。そうしたら、私たちのところにいたときよりずっと元気になって歩いている姿を見かけて。「え?どうして?」と正直びっくりしました。
私は自分の事業所しか知らなかったので、その環境が一番素敵と思っていましたが、おそらくその方にとったら不自由な環境だったんだと思います。認知症かどうかは関係なくて、それぞれの人によって合う合わないってあるんだなと。その方の自由を奪うのではなく、最大限力を発揮できる環境を働く人たちが整えてあげることが大事だと思いました。 ── 2020年に准看護師の資格も取られています。それはどういう理由からですか?
北原さん:ケアマネジャーの研修ではチーム連携をしっかりと学びます。チームには 医師、看護師、専門職がいますが、私にそのようなプランを立てられるのかと怖さを感じるようになりました。そのころ、在宅診療の勉強に行った先で、準看護師の資格を取るのがいいのではと勧められたんです。 そこから2年間学校に通ったのですが、これが大変で…。最初の1年は女優と介護の仕事をしながら通いましたが、もう1年は夏休みや冬休みなどの長期休暇にまとめて働いて、あとは学業に専念しました。毎週のようにあるテスト、実習のための資料作りで日々、寝不足。気づいたら寝落ちしていて、朝慌てて資料を書き上げて実習先の病院に向かうも、「この内容では研修を受けさせられない」と言われ、実習が中止になることもあるのです。