楳図かずおさん「まことちゃんハウス」でも注目…独身者の遺産相続、誰に? 起きやすい“トラブル”と“2つの回避術”とは
兄弟姉妹による相続「トラブルに発展しやすい」
前述のように、ひとり暮らしの高齢者は今後も増加し続けていくと見られている。高齢であればあるほど、両親や祖父母といった「直系尊属」が亡くなっている可能性は高く、配偶者や子どもがいなければ、存命の兄弟姉妹が法定相続人となるケースも多くなっていくだろう。安達弁護士によると、このような場合「トラブルに発展しやすい」そうだ。 「兄弟姉妹が全員存命なケース、被相続人が死亡する前にすでに兄弟姉妹の全員または一部が亡くなっていて、その子(被相続人から見ると甥・姪)が相続人となっているケース(代襲相続という)のどちらにおいても、トラブルが起こりがちです。 特に、普段の被相続人との関わり度合いに差があると、財産を平等に分配することに対して『不公平だ』と感じる人が出てきます。実務経験上、『相続人らに被相続人と親戚付き合いがあったのか、あったとして相続人間で同程度であったのか』などが不満の遠因になることが多いように思います」
トラブル回避のためにやるべきこと
死後にトラブルを残さないよう、やっておけることのひとつとして、安達弁護士はまず「遺言の作成」を挙げる。 「たとえば、独身、子なし、兄弟姉妹なし、父母も祖父母もすでに他界という境遇であっても、『自分より若い従弟(いとこ)が普段から病院に付き添ってくれるなど兄弟同然の付き合いをしている』といったケースは少なくありません。 この場合、被相続人(になる予定の人)と従弟の双方で『死後の後始末も遺産も従弟に託すね。よろしく』『自分が遺産を引き継ぎ、葬儀やお墓の手配、そのほか死後のいろいろな事務手続きの対応、その後の供養も含めてやっていくつもりだよ』と話していたとしても、法律上、従弟は相続人ではありません。 『従弟に全財産を遺贈する』と遺言していればそれで解決するはずが、遺言がない場合、従弟はいわば“部外者”となってしまいます。被相続人の生前の意思に合致していても、死後のさまざまな手続きがスムーズにいかないことが多くあるでしょう」 遺言がない中、従弟に財産を正式に引き継いでもらうには、裁判所に「特別縁故者」と認めてもらうための手続きをしなければならないが、時間もお金もかかる上、確実に財産を渡せるかも不透明だという。 「また、『推定相続人として甥姪が合計4人いるが、そのうちの姪1人が子ども同然に世話してくれており、被相続人(になる予定の人)も姪1人だけに財産を渡したいと思っている』ということもあるかと思います。 しかし、これも遺言がなければ甥姪4人で平等に分けなくてはいけません。その結果、世話をしていた姪に不満が生じやすく、争いになるケースが多く見られます」 遺言を作成しておけば血族関係にない人にも自分の財産を渡すことができるため、誰に何を残すのか、自分の意思をしっかり示しておくことは非常に重要だ。安達弁護士は、「この場合、公証役場で作成する『公正証書遺言』が一番いいでしょう」とアドバイスする。