2040年度の発電量「再エネで4~5割」は可能?増える電力需要「原子炉1基で太陽光パネル山手線1周分の面積必要」の現実をどう考える
■再エネでどこまで賄える?
再エネはさらに推進したいものの、日本自体が求める電力需要に追いつかない。太陽光、洋上風力に続く新たな技術革新が求められるものの、その間を埋めるものとして出てくるのが、やはり原子力だ。ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「将来、何十年か先に大規模な蓄電池が可能になってきたら、再エネで昼間、太陽光で発電したものとか、風が吹いた時に風力で発電したものを貯めておけるが、現状はない。その間のタイムギャップを一体どうするのかという議論が、今のところうまくいっていない。原子力は福島の事故があり、原子力規制委員会ができて、ものすごく厳しい規制がかかっているからなかなか新設できないが、小型モジュール炉みたいな、絶対に事故が起きそうもない技術の開発も進んでいる」と語った。 原子力の現状については、石川氏が現状を補足した。「日本には(原子炉が)昔54基あった。福島の事故があり、これを33基に減らした。原子力規制委員会は、世界的に見ても非常に厳しいので、なかなか再稼働させない。ただ、技術的にも科学的にも、原子炉1基を再稼働させてしまえば、ものすごく莫大な量の化石燃料を削減できる。大事なのは再エネを増やすのではなく、化石燃料を減らすこと」と述べた。
■元経済産業省官僚「原子力は安い」
再エネと原子力、効率はどの程度違うのか。山本氏は、再エネ割合4~5割を達成する上で最も取り組みやすいのが、太陽光だと推す。「早期にどんどん入れられるという意味では即戦力。(広大な土地を使う)メガソーラーという形ではなく、まだ(住宅の)屋根上に全然乗っていない。ちゃんとポテンシャルも見るべきだし、屋根上だけでなく、農地でソーラーパネルを活用していくような方法も進んでいる」と述べた。NO YOUTH NO JAPANの代表理事を務める能條桃子氏も「たとえば東京都は、屋根置きのソーラーパネル新設を、家を建てる時には一応義務化する施策を作った。こういう1つ1つの施策は、他の都道府県でできることもあるのでは」と加えた。 これに自宅にもソーラーパネルを取り付けているという石川氏は、発電量の弱さを指摘。「日本の住宅全部でやったとしても、日本のエネルギー需要の1%にも満たない」とし、原子力との比較では「原子炉1基で100万キロワットという単位がある。これは数十万世帯を安定的に賄う電力だ。これを太陽光パネルでやろうとすると、山手線1周の面積が必要になってしまう。効率がよくなったパネルを使っても1周の半分は必要だ」とし、さらに「前から言っているが、原子力ははっきり言って安い。もし震災以降、原子力を止めずに再エネを一緒に今までやってきていたら、再エネのコストもものすごく圧縮できた。今の電気料金は高い。原子力がきちんと動いていれば、それを抑えることができる。目標は化石燃料を減らすこと。どの電源が一番費用対効果がいいかと考えると、日本の場合には順番で言うとおそらく水力、原子力、その次に太陽光。ただ太陽光は1個1個が小さいので、みんなで頑張らないといけない。これが技術的な現状だと思う」。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部