2025年、全国各地で行われる注目の芸術祭・建築祭5選。
●愛知 国際芸術祭「あいち2025」(2025年9月13日~11月30日)
2010年から3年ごとに開かれている都市型の国際芸術祭。〈愛知芸術文化センター〉などを拠点に、瀬戸市など周辺地域の街中へも広がりを見せ、広域に展開する。 芸術監督はシャルジャ美術財団理事長兼ディレクターであり、国際ビエンナーレ協会会長のフール・アル・カシミ。終末と再生の間で来たるべき世界について思考する「灰と薔薇のあいまに」をテーマに掲げている。 出品作家は陶の素材を用いて土や鉱物の原初性を探る小川待子、布に精緻な針目を重ねる沖潤子ら。海外からはレバノン出身のダラ・ナセル、アラブ首長国連邦出身のメイサ・アブダラ、ケニア出身のワンゲシ・ムトゥらが参加する。パフォーミングアーツでは日本を拠点とする態変、チュニジア拠点のセルマ&ソフィアン・ウィスィらが公演する予定だ。 フール・アル・カシミは幅のある考え方、中間にある状態、さまざまなものの「あいだ」にあるものが鍵だという。0か100か、といった考え方では割り切れないものにアートが光をあてる。
●東京『東京お台場トリエンナーレ2025』(2025年10月18日~12月25日)
幕末、江戸の防衛拠点として築造された人工島「お台場」。そこに設置された砲台からは結局、一度も砲弾が放たれることはなかった。ある意味では日本と外国との接点として作られたこの場所で『東京お台場トリエンナーレ』が開催される。初回となる2025年のアーティスティック・ディレクターは建畠晢、三木あき子、山峰潤也の3人。参加作家として草間彌生、笹岡由梨子、ルー・ヤンらが名を連ねる。そのほかの参加作家も随時、発表される予定だ。 テーマは「泰平の眠りを覚ます上喜撰 ―野生とカオスと新世界―」。幕末の狂歌「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四盃で夜も寝られず」からとったものだ。会場は〈台場公園〉、〈フジテレビ本社屋・湾岸スタジオ〉、〈日本科学未来館〉ほか。「お台場」の「o」や砲口をモチーフにしたキービジュアルはKIGIが手がけた。明治維新からおよそ150年、お台場で再び日本と海外が出合う。