『コウノトリの知恵』をブータンへ 絶滅危惧種シロハラサギ”世界にたった60羽”の人工ふ化・雛の育てに成功
世界でわずか60羽ほどしか確認されていない鳥。ブータンで絶滅危惧種の人工ふ化に成功しました。その立役者は日本人でした。 【画像を見る】世界のサギの中で2番目に大きいという「シロハラサギ」 グレーの羽に白い腹が特徴の「シロハラサギ」です、サギの中では、世界で2番目に大きい鳥です。 世界ではわずか60羽程度しか確認されておらず、主な生息地・ブータンでは20羽程度が確認、ヒマラヤ山脈周辺に住んで、魚を主食としていますが、野生巣の卵は、サルに襲われるなどとして、数が減少、絶滅危惧種に指定されています。
◆支援チームが送った「携帯型孵卵器」
ブータンでは2021年から本格的な保全活動が行われていて、そのサポートを求められたのが、一度絶滅した「コウノトリ」の繁殖に成功した兵庫県立コウノトリの郷公園を含めた、支援チームでした。 支援チームは、野外巣から採取した卵を保全センターまではこぶ「携帯型孵卵器」を現地に送り、シロハラサギの人工ふ化手順書を作成したほか、今年3月と4月の2度、ブータンを実際に訪れて、雛の育て方や応急処置の仕方などを伝授しました。 その後、ブータンの保全センターが、1羽の人工ふ化に成功しました。さらに、別のヒナ1羽も保護して、あわせて2羽の人工飼育に取り組んでいます。 主任研究員で獣医師の松本令以さんは、「ブータンは機材とか資材とかが揃っていないので、そういう面での支援がまず最初に重点的に必要かなと思う」と話しました。 今後はブータンから2人のスタッフを日本に招いて、獣医診療などの研修を行う予定だということです。