老舗帽子メーカーが、がん患者向けの帽子を開発した理由:CHANVRE MAKI(シャンヴル マキ)
ーブランド名やコンセプトに込めた思いについて、教えてください。 フランス語で“麻”という意味を持つ「CHANVRE(シャンヴル)」と、私の名前の一部「MAKI(マキ)」で、「CHANVRE MAKI」と名付けました。 麻はベビー用品にも使われるほど優しく、強さもある素材です。また、このブランドは私自身が深い思いを持って立ち上げたので、「人々を優しく強く後押しするブランドでありたい」という思いを込めてこの名前にしました。 ブランドのコンセプトは、「容姿が心に与える影響を、帽子で明るくサポートしたい」です。一般的に、帽子は毎日かぶるものではないですし、市場にあるものはがん患者の方にとって髪がないことを隠すためのアイテムのひとつのように見えました。 そうではなくて、帽子をかぶればいつも通り外に出られるようになったり、髪の毛のスタイリングを楽しむような感覚で帽子選びを楽しめたりと、前向きなアイテムなんだと捉えるきっかけになってほしい。そのサポートを帽子を通して行いたいと思っています。 ー「CHANVRE MAKI」の帽子には、どのようなこだわりがありますか? 帽子の内側の作りにこだわっています。一般的な帽子は、「スベリ」というサイズを調整するパーツが内側につけられていることが多いのですが、それが化学繊維で作られているので、頭皮が荒れてしまう方もいらっしゃるんです。 それが原因で皮膚科に行く方がいらっしゃると聞いて、「CHANVRE MAKI」では肌に優しい綿や麻などの天然繊維を選んでいます。 また、滑らかなタッチになるよう、化粧水にもよく使われる「セラミド」などを加工したオリジナル生地を作って、内側に使っています。 一般のお客様からは、「シルクのように肌触りがいい」と言っていただくほど、かぶり心地がいい帽子に仕上がりました。
ーサイズ調整の機能は、どうされたのでしょうか。 サイズ調整は、帽子の外側でできるようにしました。ただ、頭の大きさは人それぞれなので、SS、S、M、Lと幅広いサイズ展開を行っています。 ー見た目もおしゃれで、柔らかな雰囲気のものが多いですよね。 デザイン面でのこだわりは、とにかく頭のシルエットが出にくくしたことです。日本人は絶壁の方が多いので、髪の毛がないとそれが目立ってしまうんです。 また、帽子をかぶっていても、もみあげから襟足にかけて地肌が見えていると、髪の毛がないのが分かってしまいます。そのため、そのラインをいかに自然に隠すかも意識してデザインしています。 ーいろいろなデザインのものがありますが、どなたがデザインを? 私がデザインしています。本当に必要としている人の気持ちを考えて、それを解決するにはどうしたらいいのかを掘り下げていくと、自然と機能やデザインのアイデアが湧いてくるんです。 当事者に寄り添うことを考えているうちに、自分のモチベーションまで上がっていきます。