年収200万~300万円台でも「人生に後悔はない」が最多…調査で判明した"日本人らしい"プリミティヴな後悔
■年収が低くても「人生に後悔」は少ない ここからは年収の額で区切っていこう。年収1000万~1500万円未満と年収200万~400万円未満で分けた。どちらもやりたいことの1位、2位は「旅行」である。 しかし年収1000万~1500万円未満の人たちの3位は「仕事の充実・目標達成」なのに対して、年収200万~400万円未満の人たちは「音楽鑑賞・楽器演奏」となっている。4位には「社会貢献・ボランティア」といった比較的お金がかからない項目が続いており、身の丈に合った願望を抱いているともいえる。 「これまでの人生に満足していますか」という質問には、全体の回答者の82%が「とても満足している」もしくは「おおむね満足している」と回答した。それを踏まえると、人間は分相応な願望しか抱かないゆえに、人生の満足度と年収はあまり関係がないとも考えられる。 「やらずに後悔したこと」について見てみると、年収200万~400万円未満の人たちのほうが「なし」を選ぶ割合が多かった。年収が低いからといって幸福度が低いとは限らないという意外な結果が出た。
■結婚してもしなくても後悔する ここからは家族と同居しているか否かで違いを見ていく。「やってよかったこと」について、同居者がいる人は「結婚」が、1人暮らしの人は「仕事の充実・目標達成」「海外旅行」が同数1位だ。各々の属性ならではの人生を楽しんでいる様子がうかがわれる。 18歳の息子を持つ松田さんのやってよかったことは「育児」だという。 「私は女ふたりきょうだいなので、男性の考えていることがよくわかりませんでした。でも息子を育てたことで男性の特性が理解でき、職場の男性メンバーの指導にもよい変化がありました」 一方、「やらずに後悔したこと」について、同居者がいる人は「資格取得・勉強」が1位。それでも2位に「なし」がランクインしているので、後悔の有無は人それぞれだ。1人暮らしは、「結婚」「育児」が上位にランクインした。 1人暮らしの人たちの「やってよかったこと」の結果からは、自分のための自由な時間を謳歌していることが読み取れたが、それでも「結婚や育児をしていれば今ごろ……」という悔いもあるのだろう。結局のところ、家族がいてもいなくても、人生の満足度にあまり差はないのかもしれない。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月15日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 長山 清子(ながやま・きよこ) ライター&エディター ビジネス書の編集者として出版社に勤務したのち、2001年に独立。女性誌、男性向け月刊誌、ニュースサイトの記事を書くほか、書籍の構成も手がける。 ----------
ライター&エディター 長山 清子 図版作成=大橋昭一