発達専門小児科医・西村佑美先生「発達特性がある息子を最初は受け入れにくかった…」葛藤を経て、普通じゃないからこそ魅力的と愛せるようになるまで
昭和レトロ、英会話、プログラミング。好きなものには没頭
現在、息子は12歳になりました。英語教室では、カナダ人の先生とマンツーマンで話が盛り上がることもあります。好きなことに対する知識が半端なく、今は古今東西のサブカルに夢中で、塾に通う時間の合間を縫ってテレビやNetflixを見ています。 新しいものが好きなのかと思っていたら、実は昭和レトロなものも大好き。2025年の大阪万博に向けて、1970年代の最初の万博の資料が欲しいと言うので買ってあげると、当時の広告や昭和の古いレポートなどを本当に楽しそうに見ています。田舎に行くと、古い信号機にも興味を示すんですよ。どういうふうに生かせるかはまだまだこれからですけど、そういう感性を持っている子だったのだと分かるようになりました。 ■でこぼこも個性。好きなことを伸ばしてあげたい プログラミング教室の体験を受けた時、息子の好きなマインクラフトで楽しく学べるかと思いきや、「どう?通ってみる?」「いや、自分でできるからいいよ」って。思わず笑ってしまいました。好きなことは教えられなくてもできるようになるようです。 もちろん嫌いなことや興味のないことには苦手なでこぼこもありますが、そうした個性も含めて、その子らしさなんだなと感じます。それを見つけつつ、好きなことを伸ばしていくサポートができたら、親としてもわくわくできるかなと思います。 ■「行ってらっしゃい。愛してるよ」「僕も」 今も、学校へ行くときに「行ってらっしゃい。愛してるよ」と言うことをずっと続けています。言い始めた時は「うん」だけだったのが、だんだん「僕も」と言ってくれるようになり、それが本当に嬉しいです。 あなたを大切に思っているという気持ちは、きちんと子どもに伝わるのだと思います。これはすぐにでもできることなので、ぜひ、やってみてほしいです。
障害のある子を育てるかわいそうな親じゃない
私たちは、大変な子どもを育てるかわいそうな親ではありません。確かにちょっと手がかかり、上級者コースを走っているような気分になることもあるかもしれませんが、これからの時代に向けて、面白い子育てをしているんだって思うことにしています。 少し癖があったり、普通じゃないことができたりする子って、実はすごく魅力的で、新しいことを始める力を持っています。これから必要とされる人材の卵でもあるのです。大人になった時、「発達障害があるのですみません」ではなく、「特性があるのでどうぞ活かしてください」と言える自己肯定感の高い人材になれるかどうかは親にかかっています。 私も悩みながら頑張っている最中。発達特性のある子どもを持つ親御さんにも「一緒に頑張ろう」と思ってくれたら励みになります。決して諦めないで進んで行きましょう。 ★後編では先生が始めたママたちのコミュニティについて伺いました(関連リンク参照)