関西財界は万博に期待、景気「緩やかに回復」楽観視…賃上げの呼びかけも
関西の経済3団体と大阪府、大阪市が主催する新年互礼会が6日、大阪市内で開かれ、約2000人が参加した。集まった企業トップからは、4月に開幕する大阪・関西万博の経済効果に期待する声が相次いだ。今年の景気については、米トランプ次期大統領の政策を懸念しつつも、楽観視する見方が多かった。
チャンス
「関西だけでなく、日本全体に波及効果のあるイベントだ」。大阪メトロの河井英明社長は、開幕が目前に迫った万博について、こう強調した。約2820万人の来場客が見込まれており、「世界から訪れる観光客にできるだけ長期間、滞在してもらえるように、多彩なイベントを仕掛けていきたい」と意気込みを示した。
万博にパビリオンを出展する大阪外食産業協会の中井貫二会長(千房社長)も、「日本と大阪の食文化をアピールするチャンス。世界に目を向ければ、成長の余地はいくらでもある」と語った。
リスクも
2025年の景気については、緩やかに回復するとの見方が多かった。「観光客の増加で人の流動性が高まり、再生のきっかけをつかむことができる」(関西経済同友会の宮部義幸代表幹事)、「関西には、万博と関連のある健康や環境分野に強みを持つ企業が多く、堅実に成長する」(JR西日本の長谷川一明社長)といった声があった。
今年のリスクとして、1月20日に就任する米トランプ次期大統領の経済政策を挙げる意見が相次いだ。NTT西日本の小林充佳相談役は、「関税が上がる可能性は高いが、最低限なら仕方がない。(関税上昇を補えるように)生産性をいかに上げるかがカギになる」と指摘した。
好循環
物価上昇が続く中、消費の下支えのため、積極的な賃上げが必要だとする声も目立った。
関西経済連合会の松本正義会長はあいさつで、「賃上げをしなければ景気は失速する」と強調し、集まった経営者らに前向きな決断を呼びかけた。奥村組の奥村太加典社長は「新卒採用が厳しく、(他の企業や業界に)劣後しないためにも賃上げは不可欠だ。景気の好循環につなげたい」と述べた。