イリオモテヤマネコとカンムリワシ、餌を分け合い「ゆいまーる」で共存 琉球大
西表島でみると、近年、来島する観光客の数は横ばいなのに、島内ガイド事業者の数は右肩上がりだった。観光客が一カ所に集中したり、屋外で排泄したりするなどの問題が生じていたため、地元では観光の方法やガイドの在り方などについて非難の声があがっていた。
従来、イリオモテヤマネコとカンムリワシが生息する地域への立ち入りや観光の方法は「ガイドの良心やマナー」に委ねられていた。それでは限界があると判断した竹富町は来年3月を目処に、町に免許登録した観光ガイドが同伴しないツアーを禁じる上、島内の川や山への1日の立ち入り制限人数を定める方針を打ち出しており、オーバーツーリズムに歯止めをかけたい構えだ。
沖縄観光の形態はここ数十年の間に多様化している。沖縄島北部でも米軍管理下だった大規模林が返還された後、観光客の増加による環境破壊の問題が生じている。西表島の人々は「生物を守るため、内陸まで人が入らないように」と心がけてきた。現地の人の「ちむぐくる」(真心)をくむように、イリオモテヤマネコとカンムリワシも思いやって暮らしてきた環境を保全していきたいものだ。 滝山展代/サイエンスポータル編集部