日本一のバーテンダーが決定──「DIAGEO WORLD CLASS 2024 Japan Final」開催
世界最大級のバーテンダーコンペティション「DIAGEO WORLD CLASS 2024 Japan Final」が開催された。激戦を制したのは「ブルガリ ギンザ・バー」の石岡雅人。EXILEのパフォーマーであるÜSAのほか、豪華ゲストも駆けつけ、熱気に包まれた様子をリポートする。 【写真を見る】イベントの様子をチェック!
いざ、世界へ
7月1日、2日の2日間、東京・恵比寿の「BLUE NOTE PLACE」で「DIAGEO WORLD CLASS 2024 Japan Final」が開催された。ディアジオ・ジャパンが主催する約2万5000名のバーテンダーが参加する世界規模の大会の日本予選だ。激戦を制し、見事日本一に輝いたのは「ブルガリ ギンザ・バー」の石岡雅人だ。 大会は4つのカテゴリーで構成されている。「NEO CLASSIC CHALLENGE」ではウイスキーを使った2種類のカクテル、「TEN BOX CHALLENGE」では即興性と創造性を競う。「RHYTHM & SPEED CHALLENGE」ではBGMに合わせたスピーディーなカクテルメイク、そして「1942 ORIGINAL SERVE CHALLENGE」ではラグジュアリーテキーラを使ったオリジナルカクテルの考案・作成が求められる。 石岡は「1942 ORIGINAL SERVE CHALLENGE」部門で優勝し、総合順位で1位を獲得した。彼が作り出したカクテル「ESTRADA」が審査員の心を掴んだ。「Don Julio 1942」をベースに、ラタフィアドシャンパーニュをいれ、氷をいれてスワリング。さらにグレープフルーツソーダを加え、スワリングして冷やし、シャンパングラスに注いだ繊細な味わいが広がる一杯。グレープフルーツジュースは自家製。絞った100%ジュースをベースに石岡流にアレンジしたものを使う。 特別審査員として登場したEXILE ÜSAは「ダンスとカクテルの表現はすごく近い」とコメント。バーテンディングと音楽、ダンス、演技の共通点についてのトークセッションも行われ、芸術としてのカクテルメイキングの魅力が語られた。 優勝が決まった瞬間、石岡は涙をこらえながら唇をかみしめ、感極まった表情でトロフィーを掲げた。仲間たちも飛びはねて祝福し、会場は歓喜に包まれた。 石岡は優勝の喜びを次のように語った。「今回本当に色々大変なことがあって、去年1月からずっとみんなと一緒にやらせていただきました。途中練習時間がとれず、何度も諦めようと思ったのですが、こうしてファイナルの10人として立たせていただき、本当にありがとうございます」 優勝者インタビューでは、石岡の独特な練習方法が明かされた。「練習をしない練習」と呼ばれるその方法は、1回の練習で100%のパフォーマンスを目指すというものだ。「0から100というスイッチの切り替えを常に意識してやる」と語る石岡。何度も繰り返して習得する方法ではなく、限られた時間の中で最大限の効果を得るための工夫が、今回の優勝につながったと言える。 世界大会に向けては、「ホスピタリティ」の重要性を強調。「バーテンディングの大会というところで、ホスピタリティがどこまで大事にされているか。これまで日本の大会は少なかったと思うんです。だからそこを意識して取り組むと、こうやって評価してもらえたのかなって思って。これからも世界で戦えたらいいですね」と意気込みを語った。 世界大会は9月に上海で開催される。「練習をしない練習」で研鑽を積む石岡はどこまで世界で自分を発揮できるか期待したい。
編集と文・岩田桂視(GQ)