「1000万円があっという間に消えた」川田利明が「もう思い出したくもない」と語るラーメン屋開業資金の現実
「プロレス四天王」の一人として活躍した川田利明さんは現在、東京都・世田谷区のラーメン屋「麺ジャラスK」の店主です。「開業から3年以内に8割が潰れる」ともいわれる厳しいラーメン業界で経営を続け、2024年6月で開店から15年目を迎えました。しかし川田さんは、「ラーメン屋は絶対にやらないほうがいい」と語っていて――。今回は、川田さんの著書『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』から一部引用、再編集してお届けします。 【写真】麺ジャラスKの看板メニュー「カレー白湯ら~めん」 * * * * * * * ◆あっという間に消えた1000万円……開業資金はいくらあっても足りない! どんなビジネスを始めるにしても、初期投資はどうしてもかかる。 今までプロレスしかやってこなかったから、そのあたりのことはあまりピンと来ていなかった。 プロレスラーは文字どおり、裸一貫でやる職業。タイツとリングシューズさえあれば、あとは何もいらない。なんなら裸足で闘ってもいいわけで、初期投資とは無縁の世界だ。 もちろん、会社からみれば住むところを与えて、飯も食わせるわけだから、ひとりのプロレスラーがデビューするまでには、それなりの投資はしているものの、やる側の人間は本当に数万円もあれば、試合道具を揃えることができる。 いや、先輩がお下がりのシューズやタイツをくれることだってある。 しかし、ラーメン屋……自営業の場合はそうは問屋が卸さない。 借りた店舗のものはどれも使えないものばかりだったので、すべてを買い揃えたり、リース契約を結ばなくてはいけなくなった。
◆胃が痛くなるような決断 ただ、それ以上に大きな負担になるものがある。 それこそが、店を借りる時に必要な「保証料」だ。飲食店の場合、この「保証料」がべらぼうに高い。 本当は正確な金額を書くべきなんだろうけど、正直、忘れてしまった。忘れた、というか、あまりにも高すぎて、もう思い出したくもない。 当然、敷金・礼金も別にかかるわけで、店の中がガラーンとしている状態でも、すでにけっこうなお金が財布から消えてしまっている。 厨房の中も、まずは食材を保管するための冷蔵庫が必要になる。業務用の大きなものだから、これも高い。 あまりにも高いものはリース契約をするんだけど、その契約書に判子を押す時に、ある種の決断を迫られる。 普通に生活していて、何かをリース契約する時に「6年契約です」と言われても、別になんとも思わないけれど、店をオープンするために必要なものをリースする時には「そうか、俺は6年間は続けなくてはいけないのか……」とあとから実感する。 それは店舗の賃貸契約を延長する時も同じで、いまだに「これから数年後、この店は本当に続いているんだろうか?」と真剣に考えながら判子を押す。 胃が痛くなるような決断は、店をやっている以上、いつまでもついて回る。
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