幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第2回】
「自然が私たちによいものを与えてくれることは、かつては常識でした。けれど徐々に忘れ去られ、いま、私たちはふたたび“車輪の再発明”をしています。この健康の森プロジェクトも車輪の再発明のひとつでしょう。このプログラムの終了後にみられる主な効果は、参加者の精神衛生の改善。そして皆さん、他人に対して親近感を抱き始める傾向があります。今日の世界情勢を見ると、私たちがお互いにもっと親近感を持つことは、とても重要なことです」
トレッキング中に突然、「ここから後ろ向きに歩きましょう!」
森を抜けて、開けた場所に出ると、アデラさんは突然、クルリと反転して後ろ向きに歩き始めた。 「健康の森プロジェクトでは、ここから後ろ向きに歩きます! あれは12年前のこと。冷蔵庫を2人で運ばなくてはならず、私が後ろ向きになってこの道を歩くことになりました。すると何が起こったと思います? 歩いている間、すべての悩みを忘れていたのです。翌朝、筋肉痛に気づきました。これはいつもとは違う筋肉をつかった証拠です。プログラム内で後ろ向きに歩く主たる目的は、“いつもとは何か違うことをする”ことです。心をいつもと少し違った状態に置き、脳の運動機能に挑んで、脳の神経に新しいつながりをつくることです。そうすれば、いつの間にか悩みすごとも忘れているはずです」 そしてアデラさんは、やわらかな笑みを浮かべながら、こう続けた。 「もし、あなたにとって後ろ向きに歩くのが簡単すぎるなら、後ろ向きに走ったって構いませんよ!」 取材協力:Visit Finland https://www.visitfinland.com/ja/ Finnair https://www.finnair.com/jp-ja Text & Photo:古関千恵子