日本ラグビーが“世界のクラブ大会構想”リードできるか? 「クロスボーダーラグビー」開催の是非
ニュージーランドの強豪2チームが来日して行われた「クロスボーダーラグビー2024(CBR)」。オーストラリア、ニュージーランド、フィジーの3カ国から 12のプロクラブが参加する南半球の最高峰リーグ「スーパーラグビー・パシフィック」に所属するチーフス、ブルーズと、日本のリーグワンに加盟する4チームが対戦する形で実現した国際試合だ。初開催となる今回は交流戦という形式で行われたが、将来的には世界のクラブ王者を決める公式大会となることを目指しているという。 (文=向風見也、写真=つのだよしお/アフロ)
リーグワン発足前から温められていた、強豪国の名門へ挑む構想
最適解を探っている途中だ。 2月の第1、2週の土日に行われたのは「クロスボーダーラグビー2024(CBR)」。日本最高峰のリーグワンで昨季4強入りしたクラブが、国際リーグのスーパーラグビー・パシフィックから2チームを自国に迎えた。 ニュージーランドのチーフス、ブルーズが東京、神奈川、埼玉で2試合ずつ行った末、日本勢は1勝3敗。グラウンド内外での収穫、継続的な運営への課題が見えた。 「(CBRの成果は)選手が感じたと思います。リーグワンとは異なるラグビーに触れるという機会でした。ファンの皆さんも、(海外プレーヤーの加入で)グローバル化するリーグワンとはまた異なるグローバルの要素を味わっていただけたのでは」 こう語るのは東海林一。一般社団法人リーグワンの専務理事だ。 さかのぼって2016年以降、日本は当時のスーパーラグビーへサンウルブズというプロクラブを派遣。ナショナルチームと似たような陣容で、世界トップの公式戦シーズンを体感した。2019年のワールドカップ日本大会で日本代表が8強入りしたのは、その経験のおかげとも取れた。 潮目が変わったのは2020年以降。スーパーラグビー事業がその年限りで止まり、新たな世界との接点が請われた。ここで浮かんだプランが、CBRだった。 日本トップのクラブが強豪国の名門へ挑むこの構想は、2022年1月にリーグワン元年がスタートするよりも前から温められていた。日本ラグビーフットボール協会(日本協会)が2023年にニュージーランド、オーストラリアの協会と覚書を締結した際も、CBRの発足を目論んでいるのが明らかだった。