節目となった8月6日…中日・岡林が受け入れた打撃フォーム改造 バットを顔の前.207→後ろに引いたら.324
渋谷真『数字は語る~2024年竜戦士』その6 今季の岡林勇希を象徴する数字は「8・6」である。8月6日のDeNA戦(岐阜)の試合前練習で立浪監督(当時)からアドバイスを受け、打撃フォームを変更。顔の前あたりで構えていたバットを後ろに引いた。 ◆岡林の今季期間別打撃成績【表で詳しく】 「その前から言われてはいたんですが、なかなか数字も上がってこず、それならやってみようと。簡単に言えば『上半身を意識するな』と。来たボールをよりシンプルにとらえていく感覚です」 前日までの打率は2割7厘。苦しみの発端は5カ月以上さかのぼる。沖縄での春季キャンプ終盤に右肩を痛めた。開幕1軍を逃し、4月下旬に1軍復帰してからも打率は1割台をさまよった。 「それを言い訳にはしたくなかったんですが、自分にとって初めての故障。無意識にかばっていました」 強く振ることを体が拒んでいた。わずかな狂いを他球団は見逃してはくれなかった。昨季は3割2分5厘と得意だったストレートの打率は2割3分に急降下。速い球にバットが出なくなったからだった。得点圏打率もリーグワーストの1割8分7厘。岡林いわく、これらの数字は「全てつながっている」という。 「元々は速い球は好きなので。でも、今年はチャンスになると、よりそういう(速球中心の)攻めが増えた。キャッチボールを不安なくやれるようになったことで、バットも振れるようになりました」。フォーム改造を受け入れ、痛みも消えた8月6日以降は3割2分4厘。強く鋭い打球を取り戻せた。 最多安打に輝いた2年前はシーズン終盤を尻上がり、逆に昨季は3割を超えていたのに尻すぼみで終わっている。故障が原因とはいえ、今季は再び尻上がり。能力の高さを誰もが認めるが、安定感を増せば首位打者も十分にねらえる。 「1年間をしっかり戦えるよう、オフの間から準備して臨みたいです」 再建への重要なキーマン。来季こそ出遅れも失速もないように…。
中日スポーツ