【中学受験】寺修行からの、塾&家庭教師 ダブル投資!? 入試まであと半年、母が下した最後の決断は【シングルマザーの中学受験 奮闘記|全寮制中高一貫校までの道のり】
息子の変化
2泊3日の寺での体験が終わると、息子の態度は明らかに変わりました。朝の行動が遅かったり、ダラダラした態度が見られたときに「またお寺に連れて行きましょうか?」とか「和尚にお話をしてもらいましょうか?」あるいは「もう一度、お寺で修行しますか?」などと私が言うと、息子はサッと行動するようになりました。 今振り返ると、和尚との出会いは息子にとって大きなターニングポイントだったと思います。もし、この寺での体験がなければ、志望校合格への道はさらに険しいものになっていたでしょう。 後日、と河田さんにお礼を伝えると、和尚は静かに微笑みながらこう言いました。 「困ったことがあったら、いつでも相談にいらっしゃい」 私にとっては、心の拠り所を得たようで、救われたような気持ちになりました。
2年半の学費を無駄にすべきか、それともさらに投資すべきか…
息子の生活態度は次第に改善されたものの、成績のほうは思うように上がりません。偏差値はようやく50に届くかどうか。河田さんとの朝の約束による成果か、国語と社会はなんとか平均点に届くくらいになりました。しかしながら、苦手意識を持っている算数と理科は依然として低迷していました。 受験まであと半年となった模擬試験の結果は、志望校への合格可能性が極めて低いというものでした。私は焦りから、「こんなんじゃ希望校に行けないわよ。本当に行きたいの?」とつい責めてしまいました。 「あなたが行きたい学校なのはわかるけど、このままじゃ難しいわ。どうしたいの?」 息子はしばらく黙っていましたが、意を決したように言いました。 「僕はS校にどうしても行きたい。Y君は家庭教師をつけてもらったんだって。他の友だちも家庭教師を頼んでいる子がいるよ。僕も家庭教師をつけてくれないかなぁ…?」 「家庭教師ねぇ…」と半信半疑でしたが、息子が自分から勉強のことを提案するのは初めてのことでした。 高額な投資への迷いから家庭教師の費用を調べてみると、さまざまなコースがありましたが、実績のある先生にお願いするとなると半年で低く見積もっても100万円以上…。正直、家計には大きな負担です。今までの息子の行状を考えれば、家庭教師をつけたからといって成績が上がる保証はありません。 「どうしようか…」と悩みました。しかし、ここで投資を惜しんでは、これまでかけてきた時間や労力、お金がすべて無駄になる。さらに、息子の希望が叶えられなくなる可能性が高い。 そのことを考えて、意を決した私は、 「わかった。お母さんも頑張ってみる。一緒にやってみようか」 そう言うと、息子は少し驚いた顔をしてから、嬉しそうに「ありがとう!」と言ってくれました。 私は、塾に加えて、家庭教師をつけることを決断しました。今まで2年半かけた時間と労力とお金が無駄になり、さらに追加した家庭教師代もすべて失う可能性もありましたが、息子の希望を叶えてやりたいとの思いから、できる限りのサポートをしようと心に決めたのです。 ◆なぜ寺へ行くような状況になったのか、前話は関連記事から 今回の学びと葛藤《まとめ》 ●約束の重みを知ることで、子どもは大きく成長する ●将来の後悔を避けるためには、リスクを取る勇気も必要
執筆/清宮ゆう子