5季ぶりの王座奪還狙ったパナソニックパンサーズ 名将ティリ監督「船の色んな所に穴が空いていた」
タイムアウトのタイミング、選手交代など采配に迷い
もしティリ監督が西田を第1セットからスタメンに選んだとしても、違う結果になったかどうかはわからない。しかし、西田のこの試合で見せた攻撃力を見ると、第1セットの頭からいってたら、試合の流れがもう少しパナソニックに傾く可能性はあったのかもしれない。ケガから復帰間もない西田の実戦感覚やスタミナ面がどの程度戻っているか、ティリ監督が考慮するのは当然といえる。 とはいえ、ティリ監督の采配はいつもより後手だったのは否めない。第2セットでは僅差での展開が続く難しいセットであったことは間違いないが、意図が読めないタイムアウトの使い方をしていた。また、ジェスキーがサントリーから徹底的にサーブで狙われ、特にポジション2(前衛ライト)での攻撃ミスが続いていたが、対処が遅れてしまった。 ティリ監督に采配での迷いについて問うと、「簡単なサーブやトスが良い時でも全然決まらなかったので、そこに迷いがありましたし、状況が悪い時に判断が良くなく、より悪くなっていった。船があるとして、色んな所に穴が空いてて、最初にどこから穴を埋めるか迷っていた」と例えを交えながら振り返った。フランス代表を東京オリンピックで金メダルに導いた名将にとって、パナソニックを率いて4シーズン目で就任1シーズン目以来の決勝だったが、再びサントリーの前に苦杯を喫した。
悔しいリーグ前半から、後半に大活躍を見せた西山
悔しい思いをした西山は、3年前に関東の強豪・東海大学を半年で中退して、一時はバレーから離れるつもりだったところから、パナソニックに声をかけてもらい、2022年に正式加入した。昨シーズンは途中交代での出場ながら目立つ活躍をし、今シーズンは飛躍の年になるはずだった。しかし、シーズンに入っても出場機会自体がなかなか与えられず、一時は焦りをもらしていた。年が明けてから西田のケガによる離脱をきっかけに、一気に出場機会を得て活躍。その活躍ぶりを認められた中での決勝スタメン起用だった。 「前半はなかなか出られず2枚替えばかりで。その時でも結果をあまり残せず、1月、2月、3月となって試合に出られる機会が増えて、自分に良い感じにプレーであったり、気持ちであったり良かった。(我慢の時期はどう向き合った?)ストレスは今もあるが、それはこらえて、自分なりのプレーをどうしていくか、1試合あったら練習という形にしていった」