なぜW杯でアジア勢はひとつも勝てなかったのか
グループリーグの戦いを終え、決勝トーナメントに進出する16か国が出そろったワールドカップ・ブラジル大会において、4か国が出場したアジア勢が全滅を喫した。 可能性を残していた韓国も日本時間27日未明の最終戦で、退場者を出して一人少ない状況での戦いを余儀なくされたベルギーに0対1で苦杯をなめ、グループHの最下位で大会を去ることが決まった。 これでグループBのオーストラリアが3連敗、グループCの日本、グループFのイラン、そして韓国が1分け2敗とすべて最下位で敗退。アジア勢の決勝トーナメント進出ゼロは2006年のドイツ大会以来、2大会ぶり。勝ち星ゼロはアジア大陸の出場枠がまだ「2」で、韓国とUAE(アラブ首長国連邦)が出場してともに3連敗を喫した1990年のイタリア大会以来、6大会ぶりの惨敗となった。 元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は、ブラジルの地でアジア勢が苦しい戦いを強いられた原因をこう分析する。「厳しい言い方になるけれども、基本的には力がなかったということになる。オーストラリアはオランダを相手にベテラン・ケーヒルのスーパーゴールで意地を見せ、世代交代の必要性が指摘されて久しい中で若手選手も奮闘して今後への可能性は見せた。イランはアルゼンチン相手に堅守からのカウンター戦法で臨み、現時点で彼らの持ちうる力を最大限に発揮して勇敢に戦ったが、最後の最後にスーパースター・メッシの一発で仕留められてしまった。相手が相手だけに評価に値する戦いだったと言えるかもしれないけれども、こうして結果が出てしまった以上は何を言っても始まらない。現状を認めざるを得ないと思う」。 ワールドカップの歴史において、アジア勢はアウトサイダー的な存在として位置づけられてきた。1998年のフランス大会までに延べ15か国が出場したが、決勝トーナメントに進んだのは1966年イングランド大会の北朝鮮、1994年アメリカ大会のサウジアラビアの2か国だけだった。通算成績も4勝8分け32敗と列強国にとっての「草刈り場」と化してきた。