「サブカルとJ-POP」1990年代編、渋谷系、ダンス、エヴァンゲリオン
誇り高きヴィジュアル系
不良少年のうた / BLANKEY JET CITY 1991年4月発売、BLANKEY JET CITYの「不良少年のうた」。メジャー・デビュー・シングルですね。浅井健一さん、照井利幸さん、そして中村達也さん。1987年に結成されて1990年にイカ天に出場して、5週間勝ち抜いてグランドキングになった。バイクと革ジャンとロック。かっこよかったですね。この「不良少年のうた」は不良少年を歌っているのですが、不良少年を透き通った心の持ち主と歌っているんですね。このへんが彼らの美意識。音はこういうむき出しのワイルドなものだったのですが、詞は繊細でしたね。浅井さんは未だに繊細ですけども、何回かインタビューをしていますけども陽水さんとかボブ・ディランの話をしてましたね。後に浅井さんは自分で絵を描くようになったりもしていますし、絵本もたくさん出している。そういう人ですね。照井さんがアメリカ・インディアン大好きだったんですね。アメリカ・インディアンの本を僕あげたことがあるな(笑)。 BLANKEY JET CITYの後にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが出ているんですね。今日、どっちにしようかなと思ったのですが、やっぱりBLANKEY JET CITYにしました。彼らも東芝EMI、メジャーな会社だったんですけども、インディーズで出している「悪いひとたち」という歌があるんですよ。これがね、彼らの真髄だとは思っていますが、長いんですね。全然この番組ではご紹介できないというぐらいの長い歌です。1994年12月に武道館で3人でやったのですが、この武道館はすごかったですね。3人バンドの武道館の極めつけのようなスリリングなライヴでありました。 Dejavu / LUNA SEA 1992年発売、LUNA SEAのメジャー・デビュー・アルバム『IMAGE』から「Dejavu」。隆一さん、SUGIZOさん、イノランさん、Jさん。そして、真矢さん。インディーズ時代の名前はLUNACY。狂気という意味ですね。これがメジャーになってLUNA SEA、月の海になったわけですがYOSHIKIさんのエクスタシー・レコードからデビューした。GLAYの先輩ですね。ヴィジュアル系の音ですね。この疾走感、性急なビート、そして彼らの格好。髪の毛、腰までありましたもんね。ジャケットも神に背くかのような十字架に背くかのようなジャケットだったりして。 ヴィジュアル系というのはBUCK-TICKとかXが80年代に洗礼をつけているのですが、やっぱりポピュラーにしたのはLUNA SEAでしょうね。Xはどこか違うところへ行きましたし、BUCK-TICKもすでに名を成していましたからね。ただ、LUNA SEAはヴィジュアル系と呼ばれるようになっても彼ら自身は否定していましたね。俺たちはヴィジュアル系じゃない。1999年にアジアツアーがあって一緒に行ったんですけど記者会見でメディアの人たちは必ずヴィジュアル系と言うんです。僕らはヴィジュアル系ではありません、そう呼ばないでくださいと言っていましたね。背徳とか官能とか狂気とか、そういう悲劇的、反逆的、反抗的な歌を歌いながら他のバンドと一線を引いて格調がありましたね。風格があった。これはSUGIZOさんのヴァイオリンが大きいですね。X JAPANはYOSHIKIさんのクラシックのピアノというのがありましたけど、SUGIZOさんのヴァイオリンが違うイメージを与えていましたね。そして、リーダーなき、完全民主主義バンドというのも彼らの1つの特徴ですね。誇り高きヴィジュアル系と呼びましょうか。 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子 1995年10月発売、高橋洋子さんの「残酷な天使のテーゼ」。残酷な天使のように少年よ神話になれ。ヴィジュアル系の歌詞みたいですけどね。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のテーマだったんですね。じゃなかったら、たぶんこの番組では取り上げてないでしょう。きっと。90年代サブカルの転機がエヴァンゲリオンだったというのは、あらためて学んだ気がします。その後の2000年代に入ってからのアーティストインタビューでよく出てきたなというアニメが2つありまして、1つがエヴァンゲリオンでもう1つがワンピースですね。でも、エヴァンゲリオンのインパクトが大きかったんじゃないでしょうか。この曲はシングルチャートは全然上の方来てないんです。でも、平成時代にカラオケで最も歌われた曲として残っているんですね。やっぱりアニメの力はすごかったですね。GLAYのHISASHIさんがこの曲好きで、それで聴いたんじゃなかったかな。この曲何?って言ったら、知らないんですか!って言われたことがありました。90年代音楽の発信地はカラオケというのも重要な場所でした。でも、90年代サブカルヒロインはこの人じゃないかなと思って選曲しました。