「サブカルとJ-POP」1990年代編、渋谷系、ダンス、エヴァンゲリオン
下ネタと放送禁止用語のオンパレード
ウィー・アー / 電気グルーヴ 1991年4月発売の電気グルーヴの「ウィー・アー」。電気グルーヴのメジャー・デビュー・アルバム『FLASH PAPA』の中の曲ですね。電気グルーヴは石野卓球さん、ピエール瀧さん。このときはCMJKさん。このアルバムの後からまりん、砂原良徳さんになるんですね。90年代前半のサブカルはヒップホップと渋谷系とテクノに象徴されるんじゃないでしょうか。CDの普及と打ち込みとクラブ文化。ラップで言うと、スチャダラパー、イースト・エンド、RHYMESTER。そして、ZEEBRAが歌うキングギドラというところがパイオニアになるのでしょうが、そこにテクノという要素を持ち込んだのは、この電気グルーヴでしょうね。ラディカルな目立ち方ということでは、電気グルーヴだったんじゃないでしょうか。 前身はナゴムレコード所属の人生、先週その話がちょっと出ましたが、石野卓球さんとピエール瀧さんだったんですけども。デビュー当時のツアータイトルを改めて見ていたんですよ。「うんこ鷲掴み盛りだくさん」とか「2階からぎょう虫ぶら下げおじさん」とか「下痢便発電所異常なし」。下ネタと放送禁止用語のオンパレード。これが90年代のサブカルだったんだなと、改めて思いましたね。この頃インタビューしているんですけど、おもしろかったということは今の方がよくわかりますね(笑)。当時は、何この人たちって感じがありましたからね。 テクノで言うと、YMOが一時代を作って新しい扉を開けて、メイン・カルチャーの方ではTM NETWORKがそれを広めていったのですが、サブカルで言うと、電気グルーヴですね。彼らのサブカル・シーンの存在感というのは、あらためて見直さなければいけないと思いました。このアルバム『FLASH PAPA』はマンチェスター・レコーディングなんですね。このアルバムの後からそういう下ネタ系がなくなっていくんですね。音楽的に目覚めたんでしょう。その後は2000年代に入ってドイツに行ったり、ヨーロッパで大活躍するのですが、電気グルーヴで思い出したことがありまして。『R&R NEWSMAKER』という雑誌があって、僕もよく原稿を書いていたんですけども、そこに道下さんという編集者がいたのですが、彼がある日辞めたんです。どうするの?って言ったら、電気グルーヴのところ行きます。マネージャーになって、その後偉くなったという話を聴きましたが、今どうしてるんでしょうね。 Choo Choo TRAIN / ZOO 1991年10月に発売になりました、ZOOの4枚目のシングル「Choo Choo TRAIN」。これ1991年に出ているんですよ。テレビのダンスコンテストに応募したメンバーで発足したダンス&ヴォーカルグループですね。この曲の作曲が中西圭三さんで作詞が佐藤ありすさん。当時のメンバー9人の中にHIROさんがいたんですね。このZOOはボビー・ブラウンのツアーに参加するんですね。で、ボビー・ブラウンのバックで一緒になって踊るんです。そのときにボビー・ブラウンがお前らは名前を変えた方がいいよ、ジャパニーズソウルブラザーズにした方がいいと言われて、彼らはその日本のダンスブームの走りとしてあらためて自覚を持つようになるわけです。 90年代発祥のサブカルの中にダンスがありますね。ZOOはものすごくいろいろな苦労をしていますね。なんでかと言うと、1つの音楽のパートとして見られてなかったんですね、ダンスが。テレビの歌番組の後ろでちょっと踊ってろよという、そういう存在だった。彼らは自分たちで歌いながらやるんだと思っていたのですが、それが全く認められない、相手にされなかった。ZOOは1995年に解散して、HIROさんはラブ・デラックスというヴォーカルダンスチームも組んで、ドリカムのバックで出るんですね。ドリカムのバックで見たことありますね。中村正人さんがちゃんと紹介して、彼らを新しいダンスヴォーカルグループで、これから日本を背負ってくれるんだという話をしていたのですが、やっぱり上手くいかなくて1999年にJ SOUL BROTHERSを作るんですね。つまり、ジャパニーズソウルブラザーズですよ。2001年にEXILEになって、その後はメイン・カルチャーを制圧していくわけですが、そこに至るまで10年あった。HIROさんが社長、今会長かな。LDHの所属アーティストのライヴではこの「Choo Choo TRAIN」が演奏されたり、歌われたりするのは継承という以外の何者でもないですね。 HIROさんの当時の苦労話を綴った『Bボーイサラリーマン』という本が幻冬舎から出ていて、これおもしろいですよー。もし当時のことを知りたいと思われたら、その本をお読みになるのがいいと思います。エイベックスの松浦さんとの出会いとかも克明に書かれております。