JR西日本の株式1億円分を岡山県真庭市が取得へ、鉄道の存廃議論に発言力高める 市長「鉄道を必要としている市民への配慮は絶対に必要」
▽「地方路線の赤字補填を」 岡山県内では、JR西日本の要請に基づき、芸備線の再構築協議会が設置され、今年3月に初会合が開催された。真庭市は協議会の参加自治体ではないが、姫新線と接続するため危機感は強い。 太田市長はJRについて、旧国鉄時代の資産を承継してきたことから「国民の財産でもって成り立ってきた会社だ。都市部の路線や新幹線、不動産で稼いだ資金を地方の赤字路線に投入して補填する姿勢を維持すべきだ」と強調。「少子高齢化が進む中、弱者の足を確保しなければならない。災害対応や国防、過疎化といった観点からも、国は鉄道についてしっかり議論すべきだ」と注文を付ける。 ▽株式所得で発言力高めることが必要と識者 太田市長は京都府副知事を務めていた経験がある。関西電力株を持つ京都市の当時の市長が原発問題を巡って株主総会で発言した姿から着想を得た。他の自治体からも問い合わせがあるといい、太田市長は「(自治体の)首長の皆さんが(株の取得を通じて)鉄道を守ることに関心を持ってもらえれば」と期待する。 自治体がJR株式を取得した事例は他にもある。宮崎県の日南市と串間市が2016年度にJR九州株を購入。両市はJR九州と連携し、日南線の利用促進事業を展開する。
地方創生に詳しい福岡大学の木下敏之教授は、上場JR各社について「株主や資本の論理に基づいて路線の存廃を決める流れは加速する。各自治体が株を共同取得し、発言力を強めるしかない」と話す。 太田市長は過去の記者会見で「鉄道はネットワークとして連続性を持つべき。真庭市にとっては、姫新線で全国につながっていることが重要だ。鉄道を必要としている市民への配慮は絶対に必要だ」と強調した。一方、JR西日本の長谷川一明社長は「株保有にかかわらず沿線自治体は重要な利害関係者の一員で丁寧に対応させていただく」と記者会見で説明している。