「天神祭」に出現した謎の超VIPクルーズ船 20万円超のチケットも!驚くべき豪華な実態に迫る
昨年4年ぶりの完全復活を遂げ、今年はさらに大きな盛り上がりを見せた天神祭。約100万人近い来場者が訪れたこの祭りで、ひときわVIPなクルーズ船が運航されたことをご存知だろうか?最もVIPなチケットが1席20万円超え、密かに乗船者を募集するこのクルーズ船の正体とは一体……? そのグループ会社の一つであり、今回のVIPクルーズを手配した株式会社Wonder Works代表取締役の車田一光さんに話を聞いた。 【写真】天神祭を楽しみたい人々で賑わう「大阪バスワンダークルーズ」 今年の天神祭で密かな注目を集めたVIPなクルーズ船「大阪バスワンダークルーズ」。この企画・運営を手掛けたワンダーグループとは、大阪市内を周遊するループバスの運行をはじめ、大阪メトロやシティバスとのタイアップ乗車券の販売、市内の飲食店との連携企画などを通して、地域の人が現地の魅力を発信する着地型観光事業を核としている。 22年9月、コロナ禍の影響で途絶えようとしていた大阪の活気を取り戻そうと、大阪・関西万博の開催地である夢洲でのイベント「夢洲超花火」なども手掛けたという。 「大阪・関西万博開催の機運を盛り上げ、大阪の観光事業の活性化に繋げることを目的に開催しました。国内最多となる4万5000発の花火と、800機のドローンで大阪の夜空を彩り、約1万5000人の方々に楽しんでいただくことができました」 大規模なイベントも手掛ける同グループが昨年に引き続き展開しているのが、天神祭に合わせて豪華クルーズ船を運航させる「大阪バスワンダークルーズ」。全長約20メートルもある船体がきらびやかに装飾された200人乗りの大型船に、豪華なイスやテーブルが印象的な4名掛けのVIP席が9つ並ぶ。 驚くべきはその料金設定で、最高額は川沿い側のVIP席が1人あたり22万円。その他、6名のテーブル席が46万2000円(1名あたり7万7000円)、川沿いの最大8名掛けの団体席が52万8000円(1名あたり6万6000円)。一般の船渡御の料金が約5万円だけど、かなり高額だが、全容を知ると納得できる理由が見えてきた。 「そもそも、大阪の観光事業に関わる企業として、地域の活性化に貢献したいという思いもあり、この企画をスタートさせました。実をいうと、天神祭で船を走らせるだけでも、ある程度、高い料金になってしまうのが現状です。その中で、より快適で思い出に残る時間を提供するためにはどうすればいいか? お付き合いのある経営者の方々に様々なご意見を伺った中で、一番多かったのが『ゆったりと見たい』というご意見でした。そのため乗船人数をギリギリまで減らし、採算がとれるかとれないかの金額をまずは設定しました。そして、その金額をお支払いいただいてでも納得していただけるサービスは何か? を考えていきました」 では実際、どのようなVIPなサービスを受けることができるのか。車田さんは数あるサービスの中で、意外なことにまず船内環境の快適さを教えてくれた。 「船の上は簡易トイレになってしまうため、どうしても匂いや汚れなどを気にされがちです。まずは、そのイメージを払拭したかった。このクルーズ船は女性のお客さまも乗船されるので、とくにお手洗いの環境整備が必須です。 『誰もが当たり前にきれいな仮設トイレを使える社会を実現する』仮設トイレメーカーの株式会社BSKの三谷彰則さんにご協力いただき、『くさい、汚い、狭い、暗い』が気にならないトイレを特注で設えました。用を済ました後、自動で固めて処理できるので、いつでもキレイに使用できます。こうした細かやかなホスピタリティが魅力のひとつです」 船内での食事にもこだわり、同グループが信頼する肉の卸が目利きした最高級ヘレステーキや、老舗の弁当なども提供。船内時間を盛り上げる甲子園名物の売り子や、華麗なテーブルマジックを見せるマジシャンなども登場したという。 「VIP席のお客さまに限っては、よりラグジュアリーな雰囲気を楽しんでいただくため、最高級のシャンパンを用意し、大阪市内の梅田や難波までお送りするハイヤーを出しました」 当日は、約100名の人たちで賑わったという「大阪バスワンダークルーズ」ですが、乗船チケットの販売期間は短く、すぐにクローズにしたと教えてくれた。 「この企画を告知した直後から企業の方々を中心に多くの問い合わせがあったため、販売期間はごくわずかで、約1週間で販売は終了となりました。それが、一部で〝シークレットクルーズ〟と呼ばれる理由となっています(笑)。とはいえ、結果的には、グループでの参加が大半でしたので、和気あいあいと楽しく盛り上がったように思います」 また、このクルージングのクライマックスは、天神祭名物とも言える打ち上げ花火を船上から眺められること。しかし、花火が打ち上がる時間に合わせて、運航させるのは至難の業だったそう。 「当日は色々な船渡御が運航しているため、混み合うとなかなか思うように進めず、場合によってはベストポジションで花火を見られない可能性もありました。今年は運良く花火の打ち上げが始まった時にベストポジションに到達できたので、お客さまの頭上で満開の花火が舞う瞬間をご覧いただくことができました」 では実際に、乗船した人たちはどのような印象だったのか。これまでに船渡御を経験したことがある40代女性は次のような感想を語ってくれた。 「とにかくゆったりと過ごせたのがよかったです。以前は、膝の上でお弁当を急いで食べて、身動きを取るのも苦労するほどでした。今回の船渡御では、自分たちのペースでみんなとお話を楽しみながらお料理やお酒を楽しめました。何より、ちょうど頭の上に打ち上がっている花火をバッチリ見ることができたので一生の思い出です。来年も開催される予定と聞きましたので、また参加したいと思いました」 一晩で約20万円。特別な思い出を作りたい人は、ぜひ来年は参加してみてはいかがだろうか。 ★車田一光さん 株式会社Wonder Works代表取締役社長。大阪の〝着地観光〟を軸とした数々の事業を推進し、インバウンド向けの道頓堀クルージングや食と文化が交差するイベント企画などを実施している。 (よろず~ニュース特約・橋本未来)
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