「大谷を見ろ!夢は叶うんだぞ」と語る熱血先生はヤバい! 子どもたちを狭隘の世界に誘う危険な励ましの言葉って?
仕事柄、中・高生からお悩み相談をされることが多いんですか、先日ドジャースが優勝し、大谷選手がまた一つ夢を実現させましたよね。このような素晴らしい快挙の後には、必ずこんなご相談を頂きます。 この記事の他の画像を見る 「将来の夢がないとダメですか?」 「夢が見つけられず困っています」 なぜなら彼らは、日頃から学校生活や授業で「将来の夢は?」「目標を定めて」「大谷を見ろ!」みたいな圧を受けており、将来の夢が未定、という自分に罪悪感すら覚えているんです。いやいや大丈夫だから。 ぜひ「先生は私と同い年の頃、どんな夢があったんですか?」と聞いてみて欲しい。言葉に詰まる教員もいるはず。社会のこともまだよく分からないのに、夢を決めろ、それを目指せなんて気の早い話です。 そもそも自分の適性なんてそう簡単には分かりませんよね。私自身、未だ自分の適性が掴めません。会社員が全く以て不向きなのは分かりましたが、それを認識できたのは40も過ぎてから。不惑どころか今でも惑いっぱなしです。 人生はいろんな要素・岐路が重なり合って変化していくものだし、大谷みたいな天才じゃなくてもゲームチェンジャーになれる可能性はある。若いうちから慌てる必要はありません、ゆっくりでも勝算はあります。 ただ間違いなく言えるのは、どんな夢、どんな目標であっても、それがうまくいかなかった時の「プランB」を用意しておくこと。重要なのはコレです。これこそ学校で教えて欲しい。 人生のプランB 少し前ですが、SNSで「大谷は努力していない、生まれつきの才能なんだから、尊敬する必要はない」という根性がねじれて途中で枯れたような投稿がされ、キミ大丈夫か、といろんな意味で話題になっていました。 そもそも私たちの人生は、努力すれば報われる、なんて単純な世界ですらないワケで、夢は叶ったり叶わなかったりするし、いつ報われるかも分からない。時々、 「ボク学校をやめて夢を追いたいんです」 という若者に出会うんですが、いやキミ、その夢に向かって長く取り組める環境を維持した方がいいよ、とお伝えしています。まあ聞いてもらえないですが…… でもこれ本当に重要で、人生は何が起きるか分からないし、夢が叶うあと一歩の所で、いったん立ち止まらざるを得ないこともある。その時どうするか。夢を追うなら「もしも」に備えたプランBは必須なのです。 いったん撤退して、後に花開くことだってあるでしょう。でも彼みたいに自分を追い込んでしまうと、いざという時の選択肢が狭まってしまうのです。 叶えたい夢があるなら、安心して取り組める備え、環境が変化しても継続できる仕組みは大事。背水の陣はよくない。成功率を上げるという意味でもプランBは重要なのです。決して逃げ腰とか保守的なモノではありません。ビジネスも一緒ですよね。 こういう戦略的な生き方、考え方を、是非学校でも教えて欲しいと思っています。 アイドルと結婚したい 人生、努力が報われる保証はない。でも努力する以上は勝率の高い戦略をもって挑むべき。これも大事です。 割と頻繁に「〇〇というアイドルと結婚したいんです」という本気の相談をされるんですが、ならば勝率の高い方法で挑んで下さい、とアドバイスしています。 同じ業界に入るとか、所属事務所に社員として潜り込む、みたいな、要は他のライバルが考えそうなことをやっても、競合がいる以上、その勝率は高くありません。なるべく競合の少ない、より勝率の高い方法で戦うべき。 例えばそのアイドルから注目されるような、尊敬される、会いたいと思わせるような人物になる。ターゲットをしっかり研究し、どんな人になれば興味を持ってもらえるか分析して、それを目指す。 こっちの方が確度も勝率も高いし、その上もし夢が叶わなくても、色んなものを得られ、前向きな撤退戦が実現できます。プランBまでビルトインされた悪くない戦略です。 これまで多くの若者にこの戦略を伝授してきました。そのうちの誰かが、いつか私を披露宴に招待してくれるハズです、楽しみです。 Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) ※本記事のタイトル・画像はFORZA STYLE編集部によるものです。
小木曽 健