全国王者・慶應を撃破した桐蔭学園のアンダースロー、体をつりながらの力投!粘りの投球に「ボールは正直だな」【24年夏・神奈川大会】
<第106回全国高校野球選手権神奈川大会:慶應義塾2-4桐蔭学園>◇18日◇5回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか 【トーナメント表】神奈川大会 結果一覧 昨夏全国優勝校・慶應義塾を4対2で下し、桐蔭学園がベスト8進出を果たした。 先発した杉本 早由貴投手(3年)は、「トーナメントが決まった時から、この試合で自分がいくと決まっていた」と万全な態勢を整え、7回2/3、2失点で慶應義塾打線を抑えた。アンダースローから最速126キロの直球を武器にスライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと多彩な変化球で相手を手玉に取っていく。「内と外に投げ分けて、自分の投げたい球よりも相手が嫌だと感じる球を投げ込んでいくのが強み」のスタイルで相手打線に反撃の隙を与えなかった。 慶應義塾との対戦が決まってから対策を練ってきた。「少しでも甘く入ると力があるので打たれてしまう。それでも、自分のコーナーになげていくスタイルができれば結果もおのずとついてくる」と制球に細心の注意を払って投げ込んでいった。試合序盤はボールが先行し、「球は正直だなと思いました」とはにかんだが、その後は真骨頂の打たせて取る投球が光った。 5回以降は体がつりながらも、水分補給や小まめな休憩などで疲労回復につとめて力投。途中でマウンドを譲った8回のマウンドは、「ずっと体がつっていた状態でこの日一番の辛い投球でした。それでもなんとか一球一球粘りの投球ができました」と振り返った。 8回には主将の中村 流彗投手(3年)がリリーフで登板。先発のマウンドから降りるときには、「お前だったら絶対に大丈夫」とチームメイトを鼓舞した。エースナンバー「1」を背負うが、「後ろにいる投手陣も安定感があるので、自分も自信をもって投げていける」と仲間への信頼も厚い。「常にマウンドにあがる投手がエース」と片桐 健一監督の言葉を信条に、投手陣全員で一勝を掴みとった。 次戦は16年以来となるベスト4進出をかけて向上と対戦する。宿敵・慶應義塾撃破の勢いのまま、激戦区神奈川大会を制することができるのか。今後の戦いにも注目が集まる。