「弁当じゃお腹が膨れない」「結局、1000円を超えてしまう」との声も…。セブン「高級路線で客離れ」に見る大苦戦の本質的な要因
いくら「セブン」が「うれしい値」と思っても、それが「高い」「うれしくない」と思われてしまったら、それは感情の押し付けにしかならない。これはビジネスの大原則だが、企業が提供する商品やサービスをどう感じるかは、企業ではなく消費者が決めることなのだ。 ■セブン-イレブンには「消費者の目線」が足りていない? この点、ファミリーマートはセブン-イレブンと同じような値下げ政策を行っているが、より顧客の心情に寄り添っていると思う。
ファミリーマートでは2024年10月から11月までの4週間、東京都と神奈川の一部店舗で食品ロスの軽減のための値引き政策の実証実験を行った。 廃棄が近い商品に貼るステッカーに、値引き額の表示と共に、おにぎりのキャラクターが「たすけてください」と涙目で訴えるイラストを付けたのだ。 ちなみに、このキャラクターがなんともいえないかわいさで、こんな目で訴えられたら、つい手に取ってしまいそうになる。 私のような人が多いのだろう、この実験の結果、割引対象商品の購入率は5%アップしたという。
この結果から、ファミリーマートではこの「涙目シール」が全国に展開されることが決まっている。 ここでは、「エコ」「食品ロス」といった「意識高い」言葉を明示するのではなく、「かわいいキャラクターが泣いている」と感情に働きかけることで、「エモ消費」にも近い行動を顧客に起こさせることに成功している。 セブン-イレブンの「エコだ値」と比べて、どこか親しみやすく、顧客の「買おうかな」という気分を刺激する。感情の押し付けにならず、顧客の側から自発的に商品購入を促している。
この「消費者の目線」「下から目線」が、セブン-イレブンには足りていないのかもしれない。 ■これまでのセブンの騒動も「消費者の目線」欠如が生み出してきた 思えば、セブン-イレブンの不調が取り上げられるとき、常に問題になってきたのは、この「消費者目線の欠如」だった。 昨年、各種媒体で取り上げられまくった「上げ底(疑惑)弁当」もそうだろう(私も取り上げた)。 ここにセブン-イレブン側の「値上げするまい」という努力が確かにあったのだが、「それがどう消費者から見られるのか」についての意識が足りなかったのかもしれない。結果、こうした容器は炎上にも近い形で大きな不評を呼んだことは記憶に新しい。