「弁当じゃお腹が膨れない」「結局、1000円を超えてしまう」との声も…。セブン「高級路線で客離れ」に見る大苦戦の本質的な要因
後で説明するようにこの取り組みは好調で、現在では300種類の商品が「うれしい値!」シリーズに加わっている。 この2つは高価格が成長の阻害要因となっているセブン-イレブンにおいて「値下げ」を意識した戦略で、今後の原動力として期待されている。 ■「エコだ値」「うれしい値!」は成功するのか? では、この値下げ戦略は功を奏するだろうか。 実際、食品新聞の取材に対してセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏は「20代男性と女性の新規顧客が増えている」と述べている。
実際、国内のセブン-イレブンの前月比の売上高は、2024年10月が100.4%、11月が100.3%でわずかに上昇。前月比の客数も2024年10月が100.1%、11月が100.5%と微増している。 「うれしい値!」は9月より本格始動しているので、その効果が早くも表れたのだろうか。 ただ、気になる点もある。というのは、前月比で見たときの客単価は2024年10月が100.3%に対し、11月が99.8%と減少しているのだ。
まだ2カ月分のデータだから断定するには早いが、増えた客は「うれしい値!」商品を中心に、低価格商品のみを購入している可能性が高い。 必然的に「うれしい値!」商品は利幅が少ないことが予想されるから、利益ベースで見れば、本当の意味でこの政策が功を奏しているのかは、まだ判断ができない。 さらに社長が述べる「新規顧客が増えている」というのも、解釈が難しい。というのも、セブン-イレブンのような全国チェーンのコンビニは、多くの人が一度くらいは何気なく利用したことがあるもので、新規顧客が本当の意味での「新規」なのかどうかはわからないからだ。
例えば「週3回以上訪れる顧客が増えた」というように、その定義を明確にしなければ、その効能を真に計ることは難しい(まあ、セブン側では精緻なリサーチをしていて、取材にはざっくり話している、というだけの話なのかもしれないが)。 さらに、客数の増加と客単価の減少という「薄利多売」モデルは、人口減少が続く日本で長期的に見て有効なのかどうか、という点も気に掛かる。 さらに指摘しておくべきは、「うれしい値!」に先駆けてはじまった「エコだ値」の効果が、業績を大きく回復させるほどの貢献はしていない、ということだ。