「パチンコ市場で覇権」SANKYO復活の理由と今後の戦略
営業益8倍の決算
近年の業界を代表するヒット機種となったSANKYOのパチンコ「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」(記者撮影)
まさに“大当たり”といえる決算だった。遊技機(パチンコ・パチスロ機)メーカー大手のSANKYO(6417)の今2023年3月期の第2四半期決算は、売上高699億6300万円(前年同期比149.3%増)、営業利益264億1500万円(同806.4%増)と大幅な増収増益で着地した。 牽引役となったのは売上高の85%を占める主力のパチンコ機関連事業だ。セガサミーホールディングス(6460)や平和(6412)、藤商事(6257)など競合メーカーのパチンコタイトルが軒並み2万台未満に沈む中、SANKYOでは2022年8月に投入した「フィーバーからくりサーカス」の販売台数が3万台とヒット。ほかにも2タイトルが2万台を超えるなど、今年度上期のパチンコ機販売台数は計14.4万台(前年同期比137.6%増)にのぼった。 同じく売上高の10%を占めるパチスロ機関連事業も、ギャンブル依存症対策である出玉規制が緩和された規格「6.5号機」の新台「パチスロ アクエリオン ALL STARS」(2022年7月投入)を擁し、計1.0万台(同323.2%増)を販売。3期ぶりに中間決算でセグメント黒字に浮上した。 「ブランド力(当社への信頼度)の向上を背景に、販売したタイトルは総じて多くの引き合いをいただき、近年にないペースで販売台数を積み上げることができた」と髙橋博史常務執行役員は決算説明会で自信を見せた。 10月には2023年3月期の通期業績予想も上方修正しており、売上高1100億円(前期比29.6%増)、営業利益290億円(同35.8%増)という従来予想から、それぞれ1350億円(同59.1%増)、450億円(同110.7%増)へと大幅に上乗せした。株価も上昇が続き、ここ10年見られなかった高値圏につけている。 競合を置き去りに快走するSANKYO。ただ、この10年ほど業績は停滞気味だった。
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森田 宗一郎