近所の神社の大杉には大きな焼け穴があります。昔父が火事を起こしたそうなのですが、今の時代だったら慰謝料が発生しますよね?
不法行為において、時代は関係ない
法律の改正や時効などはあるものの、不法行為の善悪に時代は関係ありません。昨今はSNSやインターネットの発達により、不法行為に対して厳しくなったと錯覚する方も多いでしょう。しかしより正確にいえば、不法行為に厳しくなったのではなく、不法行為が可視化されるようになったということです。 不法行為の定義や断定は難しいですが、常日頃から不法行為と断定されないような振る舞いを意識することは可能です。人間には誰にでも失敗の可能性があり、いわゆる過失を犯してしまうことはあるでしょう。重要なのは、故意性や重大な過失の有無です。 いずれにせよ、悪意を持った行動は、損害賠償などの責任を問われる可能性があるということです。
慰謝料の発生は考えにくいが、損害賠償の対象にはなり得る
慰謝料とは損害賠償の1つであり、不法行為が原因で精神的苦痛を被った場合に対する賠償金のことです。精神的苦痛の原因が不法行為であったかどうかが争点の1つになり、不法行為と認められなければ慰謝料を請求できないこともあります。 神社の大杉に対する火災で精神的苦痛を被ったとは判断されにくいため、慰謝料を請求される可能性は低いでしょう。しかし、物的損害による損害賠償の対象には十分になり得ます。失火責任法により損害賠償を免れる可能性もありますが、故意性の有無や過失の大きさによって適用されないこともあります。 慰謝料の発生は考えにくい行為ですが、状況次第で損害賠償の対象になる可能性は十分にあるといえるでしょう。 出典 e-Gov民法 不法行為 e-Gov 明治三十三年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部