「シューティングブレーク」って何?「ワゴン」との違いは?…フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」も同じジャンル?
日本にもシューティングブレークを応用したボディが展開
第二次大戦の終結後、多くの乗用車のボディがモノコック化され、伝統的なシューティングブレークの架装を依頼する顧客が激減。また、折からの不況で英国の高級車メーカーは続々と姿を消していたことも合わせて、ロールス・ロイスやベントレーなど、ごく一部の高級車のテールにハッチゲートを設けたシューティングブレークが、英国のコーチビルダーの手で細々と注文製作されていた。 それでも1960年代に入ると、旧来の常識を覆す新たなシューティングブレークが登場する。アストンマーティン「DB5」サルーンをベースとし、長らくシューティングブレーク化を得意としてきた老舗コーチビルダー「ハロルド・ラドフォード」の架装による極めて贅沢なエステートワゴン、「DB5シューティングブレーク」が12台だけながら製作されたことで、流麗なクーペのルーフを後方に真っすぐ伸ばし、リアエンドにテールゲートを設けたワゴン型車両を「シューティングブレーク」と呼ぶ風潮が、欧米を中心として一気に広がることになったのだ。 英国チャールズIII世王の妹君、アン王女も愛用したことで知られるリライアント「シミターGTE」や、ボルボ「P1800」クーペから発展した「1800ES」はその最たる例。また試作のみに終わったものの、東京モーターショーに出品されたトヨタ「RV1」やいすゞ「スポーツワゴン」などの日本製コンセプトカーも、新たなシューティングブレークの哲学を応用したものだった。 とはいえ1970年代も後半になると、オイルショックや安全対策などでスポーティなクルマたちは一時的に勢力を失っていたことにくわえて、この時代になると英国富裕層における生来のスポーツハンティング用車両としての需要は、主にレンジローバーによって担われるようになっていたことから、結果としてシューティングブレークもアストンマーティンなどをベースとするワンオフ+α程度まで減少してしまうことになった。しかしそれからほどなく、DB5で提唱されたシューティングブレークの世界観を完全継承した、新たな素晴らしきモデルが登場することになるのだ。
【関連記事】
- 【画像】流麗なフォルムが美しい! クラシックカーから現行車までの「シューティングブレーク」を見る(14枚)
- ■ 世界にたった1台のロールス・ロイスが約4000万円!「シルバー スペクター シューティングブレーク」製作に2500時間以上かかりました
- ■ 【ベンツ vs BMW】センスのよいカスタムが光るオーナー車を紹介! アウドドア仕様の「CLA」にワンオフホイールの「335i」がカッコいい!
- ■「バブル前夜の黄金のホンダ車4選」80年代中期のココロときめく懐かしの「一連のロングルーフ車」とは?【カタログは語る】
- ■ BMW「Z4」がシューティングブレークに大変身! フェラーリ「FF」のような「ツーリングクーペ」の市販化希望!