「シューティングブレーク」って何?「ワゴン」との違いは?…フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」も同じジャンル?
昔と現在で意味合いが違う?
メルセデス・ベンツ「CLA」を筆頭に、「シューティングブレーク」と呼ばれるボディタイプのクルマが市場に流通しています。じつはこのシューティングブレークは長い歴史を持っていて、昔と今で意味合いが異なります。クラシックカーから現行車まで網羅している自動車ライターの武田公実氏に解説してもらいました。 【画像】流麗なフォルムが美しい! クラシックカーから現行車までの「シューティングブレーク」を見る(14枚)
当時のシューティングブレークは超高級車が占めていた
現在では動物愛護や自然保護などの観点から、ごく一部の上流階級や趣味人に限られたものとなってしまったようだが、かつて英国を中心とするヨーロッパの王室や貴族、あるいは富裕層の間では、ある種のたしなみとして、キツネ狩りや鴨狩りのような「スポーツハンティング」が盛んだった。 いっぽう「ブレーク」とは若馬の調教(breaking)のために使われていた、ボディのないフレームだけの馬車のことを指す言葉だそうで、狩猟者の座席の背後に猟犬や猟銃、弾薬、仕留めた獲物などを積み込むことのできる馬車が「シューティングブレーク(Shooting Break)」と呼ばれることになったという。それは自動車の時代となっても変わらず、ボディ後部を荷台としたシューティングブレークが製作されるようになってゆく。 ところで、第二次世界大戦前の高級車については、パワートレインとシャシーを組み合わせた「ローリングシャシー」までを製造・販売するのが自動車メーカーの仕事で、ボディやインテリアは顧客とコーチビルダーが相談しながらデザイン・架装する「ビスポーク」が通例だった。 そもそも狩猟をたしなむのは裕福な上流階級であることから、当時製作されたシューティングブレークはロールス・ロイスやデイムラーなど、英国王室御用達にもなるような超高級車たちが中心。しかし馬車時代からの伝統に即して、ボディフレームを構成する木骨を露出させたデザインとする、いわゆる「ウッディワゴン」スタイルが、シューティングブレークらしい野趣を表現したデザインとして人気を得ていたようだ。
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