「胃腸の働きの虚弱化」をあらわす新しい概念「ガットフレイル」をめぐる第4回ガットフレイル研究会が8月20日、神奈川県川崎市のShimadzu Tokyo Innovation Plazaで開かれました。胃腸＝gut（ガット）をめぐる研究成果が発表され、老年医学の研究者からは「フレイル予防のために大変注目している」と期待が寄せられました。 　フレイルとは加齢により心身が老い衰えた状態のことですが、「ガットフレイル」は年齢にかかわらず、すべての人の「Well-being（ウェルビーイング）―心も体も健やかに生きること―」をめざす概念です。内藤裕二・京都府立医科大学大学院教授（生体免疫栄養学）が理事長をつとめる一般社団法人「日本ガットフレイル会議」が研究会を主催しました。

個人健康情報（PHR）の活用がキーワードに

京都府立医科大学大学院の内藤裕二さん

　内藤さんは冒頭のあいさつで、個人の健康や介護、医療に関する情報「パーソナルヘルスレコード」（PHR）が「最近のキーワードになっている」と指摘しました。長期にわたってこの情報を記録し、優良なサービスを受けることや、食品や医薬品の開発に応用する動きがどんどん盛んになっています。 　内藤さんたちのチームも、100歳以上の長寿者が多い京都府京丹後地方で、住民の食生活や腸内細菌、睡眠などのデータを記録し、分析調査を進めています。 　「私たちが力を入れている、センサー付きトイレもほぼ試作機ができあがりつつある」と内藤さんは話し、毎日の排便から健康状態を測れる日が近づいているとしました。また、呼気を分析する技術も非常に進歩しており、「水素とメタンの呼気分析はもう可能。ガス分析により、おなかの中の状況が見えてくる」と話しました。 　こうしたことから、ガットフレイル研究会としても、関係するPHRをどのようにモニタリングしていくかが大事になると見通しを述べました。

日本ガットフレイル会議の認証マーク

　日本ガットフレイル会議の賛助会員企業は2023年の設立以来、医薬、食品、化学、医療機器など40社を超えました。内藤さんは、同会議の「認証マーク」をつくり、各企業が自社の商品や取り組みを効果的にアピールするプランを進めていると説明。また、来年の大阪・関西万博開催中の2025年6月に「第1回世界長寿サミット」が予定されていることを紹介し、研究会メンバーに出席を呼びかけました。