AI人材育成、教育の「民主化」を目指し、OpenAI・テスラの元AIエンジニアがAI学習スタートアップ「Eureka Labs」を設立
Eureka Labs発の最初のコースはAIを学ぶためのコース「LLM101n」
カーパシー氏は今までやってきたAIと教育を組み合わせた仕事はどれもパートタイムに過ぎず、Eureka Labsこそがフルタイムの「本業」だと豪語する。 同氏が本腰を入れるEureka Labsの中核を成すアイデアを形にした、最初の製品となるのが「LLM101n」だ。 同氏が世界最高のAIコースと強調するこのコースは、学部レベルでPython、C言語、CUDAなどの言語を使用し、ゼロからAIを構築する方法を学生に教えることに重点が置かれている。デジタルとフィジカルの両面を兼ね備えており、教材はオンライン上で入手したり、見たりすることが可能であると同時に、対面式の授業も行うという。
学生・教師の両方にメリットをもたらす、AIを取り入れた教育
教育に革命を起こす可能性を秘めているといわれるAI。AI技術が発達するにつれ、従来の、事実の暗記に重点を置いた教育から、パーソナル化された教育が普及。それを通じて、学生の潜在能力を引き出し、伸ばし、各人の将来に必要なスキルを習得できるようになりつつある。 教育にAIを取り入れると、学生・教師の両方にメリットがある。学習プロセスのパーソナル化、学習成果の予測、テストをはじめ、短文や小論文の採点が可能、事務作業の省力化、特別な支援を必要とする学生のサポート、学習のためのリソースの管理・計画、カリキュラムの作成・改善、24時間365日の学習支援などを、効率よく行うことができる。 さらに、VR、AR、IoTといったテクノロジーと組み合わせての学習も可能だ。
マイクロソフトとパートナーシップを組み、AI活用の数学の個別指導を提供予定するKhanmingo
教育現場にAIを取り入れている例は実に多く見受けられる。 例えば、Khanmingo。ビデオなどでの授業を小学生から高校生まで、世界の1億7,000万人に50の言語で提供している米国の非営利教育組織、カーン・アカデミーによる運営。 GPT-4とカーン・アカデミーならではの世界規模のコンテンツ・ライブラリーを利用し、AIチューターとティーチングアシスタントの両方の役割を持つ。米ニュース専門局のCNBC によれば、2023年に米国での試験的導入を経て、2024年5月現在で、国内の約6万5,000人の学生と教師が利用しているそうだ。 学生はもちろん、教師や保護者のための機能も備えている。学生はリアルタイムのフィードバック、討論、コラボレーションを通して、創造性を高めることができる。パーソナル化した教え方で、大学の入学や勉強、将来就く仕事をうまくこなすための知識や経験を積むことが可能だ。 教師にとっては、授業や課題の計画、学生の学習習熟度の分析、教師自身の学習強化を行う機会の提供などという形の、サポーター役を果たしている。 現在、世界44カ国の教師には英語でのKhanmigoを無料提供している。学生と保護者は月に4米ドル(約590円)を支払い、同アカデミーに入会すれば、Khanmigoが利用できる。Khanmigoを正式な教育として認め、学校に導入している学区の学校では、年に約35米ドル(約5,200円)を学校側が支払っているそう。カーン・アカデミーは非営利モデルで運営しているためAIに必要なコンピューティング関連のコストは、ユーザーが負担しているという。 CNBCによれば、マイクロソフトとパートナーシップを組むカーン・アカデミーは、マイクロソフトのPhi-3 AIテクノロジーによる新しいオープンソースの小規模言語モデルを通じて、学生にAIを活用した数学の個別指導を提供することも計画しているそうだ。