”ホームレス”に小遣いをやって”マンション”を買わせる…総額50億円、「住宅ローン詐欺」の衝撃の手口とは
ばれない小細工まで
「ホンマはローンさえ受け取れば、それでええのですが、少しずつ返済もするんです。もちろん遅れ遅れで、5万円とか3万円とか……。そうしたら、返済する気はあるいうことになるし、時間稼ぎにもなる。だからなかなかばれへんかったと思います」 内田がここにどこまでかかわっていたのか、そこについては立証されていないので明らかではない。が、まさしく地面師詐欺の住宅ローン型のような手口といえる。 内田は2002年に池袋グループの頭目として逮捕されて服役してからおよそ10年後、またしてもこの世界に舞い戻った。古手の地面師たちが姿を消すなか、スター地面師として斯界の耳目を集めるようになり、いまや地面師グループの頂点に君臨するとまでいわれる。警視庁のある捜査幹部は、内田についてこう分析した。 「地面師詐欺は地価が高騰してきた東京でここ数年、頻繁に起きているが、摘発できているのは氷山の一角というほかない。その地面師がらみの多くの事件で、マイクは何らかの足跡を残していると言われています。例の新橋4丁目の資産家が白骨死体で発見された変死事件でも、その名が取り沙汰されています」 新橋の事件はあとまわしにする。 そんな内田がとつぜん警視庁捜査二課に逮捕されたのは2015年11月10日のことだ。逮捕容疑は杉並区浜田山の土地の所有権を無断で移し、嘘の登記申請をした電磁的公正証書原本不実記録・同供用などだった。 総勢9人が一斉に摘発された。警視庁としてはかなり大掛かりな捜査といえる。それは、まさに内田という大物地面師に狙いを定めたからであり、ようやく逮捕にこぎ着けたことになる。
森 功(ジャーナリスト)
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